AI活用「スーパーシティ法」が成立  生活便利に? 個人情報が流出? Q&A

2020年5月28日 07時14分
 人工知能(AI)などの技術を活用した先端都市「スーパーシティ」の構想実現に向けた改正国家戦略特区法が二十七日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。全国で五カ所程度の地域を特区に指定する方針で、秋までに募集を開始し、年内の決定を目指す。
 計画を具体化し、実現するのは二〇二二年以降になる見込みだ。政府は、複数の分野にまたがる規制を一括して緩和することで、自動車の自動運転やドローン配送、キャッシュレス決済、オンライン診療などのサービスを同時に利用できる暮らしの実現を目指すとしている。それぞれのサービスを連携させて利便性を高めるためのデータ基盤を構築する。野党はスーパーシティには住民のプライバシー侵害への懸念が拭えないと主張し、反対している。
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 「スーパーシティ」構想の実現で、政府は住民の生活がより便利になると強調しますが、大量に収集・蓄積される個人情報が流出したり、目的外利用されたりする懸念があります。 (上野実輝彦)
 Q スーパーシティとは。
 A 遠隔での教育や医療、ドローンによる配達など、最先端技術を活用し住民サービスが受けられる都市構想です。最適なサービスを提供するため、行政や民間企業が住民のさまざまなデータを大量に集め共有、分析する仕組みもつくる方針です。
 Q 問題点は。
 A 一つは、個人情報の漏えいや不正利用につながる恐れがあることです。政府は「個々のデータからは個人の特定につながらない」と説明しますが、悪意を持ってデータを関連づければ特定されない保証はありません。二十七日の参院本会議で、共産党の大門実紀史氏は「日本を中国のような監視社会に導き、プライバシーと権利を侵害する危険性がある」と批判しました。
 Q 私たち住民の意向は構想に反映されるの。
 A 改正国家戦略特区法ではスーパーシティ整備の条件に住民合意を挙げますが、参院本会議では「合意形成がどう図られるか明記されていない」(国民民主党・森裕子氏)との指摘もありました。首長らの政治主導で強引に整備が進められる余地が残っています。
 Q 課題が多いですね。
 A 中国・杭州で導入された交通管理システムは渋滞解消に役立つ一方、監視カメラによる車両の自動撮影など住民監視も強まりました。カナダ・トロントでは、一部企業に個人情報が集中することへの反対運動が起き、最先端都市整備を目指していた米グーグル系列の企業は事業を断念しました。

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