人事院の指針「参考」にしたと森法相は言うが… 黒川氏処分の不自然な軽さ

2020年5月28日 07時15分
 賭けマージャンで辞職した黒川弘務・前東京高検検事長への訓告処分が軽いと批判されていることに関し、森雅子法相は二十七日の参院本会議で「人事院の処分指針を参考として、先例をも考慮した」と述べた。だが、人事院の指針は賭博の場合の処分を「減給または戒告」と明記するが、黒川氏には適用していない。安倍政権では、内閣府が「桜を見る会」の推薦者名簿の一部を削除した問題など、軽い処分にとどまる事例が相次いでいる。 (井上峻輔)
 「旧知の間柄の者と、必ずしも高額とまでは言えないレートで行われ、事実を認めて深く反省している」。森氏はそう強調して黒川氏の処分に理解を求めたが、参考にしたはずの人事院の指針とかけ離れて軽いことへの説明はなかった。
 人事院の指針では、賭博をした職員は「減給または戒告」とされ、常習的に賭博をした職員はさらに重い「停職」と定めている。発覚前に自主的に申し出た場合などは処分を軽くすることもあると書かれているが、黒川氏は当てはまらない。
 むしろ「職責が特に高い時」や「公務内外に及ぼす影響が特に大きい場合」など処分を重くする事例に該当する。法務省は、黒川氏が三年前から月一、二回程度、新聞記者ら三人と賭けマージャンを繰り返したとする調査結果を公表しており、常習性も疑われる。法務省の内規に基づく訓告という懲戒より軽い処分にとどまる理由は不明確だ。
 野党統一会派で無所属の今井雅人氏は、二十七日の衆院内閣委員会で「どこをどう見たって懲戒処分だ」と批判。法務省は懲戒処分が相当と判断したが、首相官邸が覆した可能性もあるとして、野党は処分の決定過程の追及を強めている。
 首相主催の「桜を見る会」を巡っても、内閣府が推薦者名簿の一部から部局名を削除して国会に提出した白塗り問題で、加工に関わった人事課長は「厳重注意」にとどまった。人事院の指針に従えば、免職や停職などの懲戒処分にも当たりうる重大な事例だ。
 指針が形骸化しているとの指摘に対し、菅義偉(すがよしひで)官房長官は同日の記者会見で「人事上の処分は、各省庁で指針も参考にしながら個別事案に応じて適切に判断する」と述べるにとどめた。

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