ウーバーイーツ人気 エアビーは落ち込む コロナでシェアサービスに明暗

2020年5月29日 07時22分

共有オフィス「ウィーワーク」の拠点=2019年12月、東京都渋谷区で

 新型コロナウイルス流行の影響で、シェアリングエコノミー(共有型経済)が曲がり角を迎えている。人との接触や共同利用が必要なサービスが多く、感染リスクがあるからだ。場所や物、サービスを分かち合う新しい経済として注目を集めてきたが、民泊事業などに逆風が吹く。今後は業態によって明暗が分かれそうだ。
 「世界各国の人と触れ合うのが好きでやっているが、当面は厳しいかもしれない」。陳李容さん(32)は米民泊仲介大手エアビーアンドビーを通じ、東京・浅草近くで八部屋を貸し出す。築浅のアパートなどをローンで購入し、二〇一六年から民泊を開始。宿泊客からの評価が高い「スーパーホスト」になった。
 これまで100%近かった稼働率は、最近10%以下に落ち込む。会社勤めの夫の収入で「なんとか収支をとんとんにしている」状況だ。
 米調査会社によると、需要減を反映して東京都内の民泊一泊当たりの平均料金は、四月は昨年末の三分の二に落ち込んだ。成長企業の代表格だったエアビーは、今年上場する方針だったが延期となった。社員の25%の解雇も打ち出した。
 共有オフィスも厳しい。米ウィーワークは東京都内に構える少なくとも四つの拠点で新型コロナの感染者が確認された。利用者は「(渋谷の拠点には)ほとんど人がいない。五月末で契約は打ち切る」と話す。業績悪化で大株主ソフトバンクグループも追加支援策の一部を見送った。
 ニッセイ基礎研究所の久我尚子主任研究員は「治療薬やワクチンが登場しなければ、人的接触を伴うシェアサービスを回避する動きは続く」と指摘する。
 一方、対人接触を伴わないサービスは伸びている。個人の時間や能力を活用する副業も共有型経済の一つ。単発の仕事を仲介するクラウドワークスへの新規登録者は急増している。担当者は「残業代が減り、在宅勤務の隙間時間に仕事をしたいという需要がある」と話す。
 米ウーバー・テクノロジーズも本業のライドシェア(相乗り)の需要は低迷する一方、料理宅配事業「ウーバーイーツ」は堅調だ。配達員と注文者が対面しないように玄関前に食事を置く「置き配」も始めた。営業を自粛している飲食店が利用したいと押しかけるが「手続きは数カ月待ちと言われた」(飲食業関係者)という。
 新型コロナの影響で、順調に拡大してきた共有型経済の先行きはどうなるのだろうか。シェアリングエコノミー協会の石山アンジュ事務局長は「短期的には厳しいが、長期的にはリスクを分散できる共有型に回帰する」との見方を示した。

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