「新たな様式」探る外食 「3密」避けられず コロナ前に戻らぬ客足

2020年5月29日 07時26分

感染拡大防止のため塚田農場の店内に貼るポスター=エー・ピーカンパニー提供

 新型コロナウイルスの感染拡大で、休業を余儀なくされた外食大手は、緊急事態宣言が解除されても壊滅的に減った客を呼び戻す見通しが付いていない。中でも、「密閉・密集・密接」を避けにくい居酒屋は淘汰(とうた)が予想され、生き残り策の構築が急務となっている。 (嶋村光希子)
 「コロナ以前のような営業状況と客足を維持できるかは分からない」
 居酒屋のワタミの担当者は声を落とす。ワタミが二十七日に発表した二〇二〇年三月期の連結業績は二十九億円超の最終赤字に。国内の約一割にあたる六十五店を年度内に閉店すると発表した。居酒屋の甘太郎などのコロワイドも百九十六店を閉店、ロイヤルホストなどのロイヤルホールディングスは約七十店の閉店を予定し、各社は不採算店の閉鎖を加速させている。
 日本フードサービス協会によると、四月の外食全体の売り上げは前年同月比で四割減と過去最低だった。居酒屋・パブが前年比91・4%減なのに対し、ファストフードは15・6%減にとどまった。日本KFCホールディングス、日本マクドナルド、モスフードサービスの四月の既存店売上高はいずれも前年を上回った。以前から持ち帰りや宅配、ドライブスルーに強く、家族向けメニューが豊富な点が支持された。
 先の見えない状況は続くが、各社は客に安心感を与えようと「新たな様式」を模索する。居酒屋の塚田農場などを展開するエー・ピーカンパニーは一部店舗で机を壁に寄せて、向かい合わせでなく横並びに座ってもらうようにした。担当者は「時間がたつと気がゆるんで客同士の距離が近づきがちだが、声掛けをしている」と話す。
 他チェーンでは透明のビニールカーテンで客席を仕切る店も。ただ、密の状態を避けるため席数を減らして客の入場を制限すれば売り上げが落ちるとして、二の足を踏む声も聞かれる。
 第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは今後の見通しを「自粛で押さえ込まれていた反動は一定程度あるが、感染リスクへの不安は今も大きく、客足がコロナ前に完全に戻ることはないだろう」と指摘。その上で「感染防止対策に加えその店にしかない魅力がなければ、業界で優勝劣敗が進む」と述べた。

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