失業予備軍600万人 雇用さらに悪くなる?

2020年5月30日 07時14分
 新型コロナウイルスによる雇用への打撃が本格化してきた。総務省が二十九日発表した四月の労働力調査ではパートやアルバイトなど非正規雇用の労働者数が三月に比べ百三十一万人減少、前年同月比でも九十七万人減少し、二千十九万人になった。休業者数は前年同月から四百二十万人も多い五百九十七万人と過去最大に達した。休業から失業に移行する人も増えそうで、雇用はさらに悪化する可能性が高い。 (渥美龍太、池尾伸一)
 もともと四月は、三月の年度末を挟んで非正規雇用者が減る傾向があるが、今年は企業業績の悪化で雇い止めされた人が膨らんだとみられる。緊急事態宣言による営業休止などで減収となった企業が、コストを圧縮するため人員削減を急いでいる。パート・アルバイトは前月より百十四万人減り千四百二万人に。派遣社員も十一万人減り百三十三万人になった。正社員を含めた就業者全体でも、前年同月より八十万人減って六千六百二十八万人になった。
 一方、失業者は百八十九万人と前年同月から十三万人増加、完全失業率は2・6%と前月比0・1ポイントの悪化にとどまった。失職後も感染を警戒して求職せず、「失業者」とみなされない人が多いからだ。
 また、六百万人に迫る休業者にも、収入の大幅減や解雇の不安が迫る。
 「このままなら来月の家賃が払えない」。都内のホテルで清掃員として勤める五十代女性は苦境を吐露する。一日十時間、週六日働いてきたが、四月上旬、上司に「明日から来なくていい」と言われ休業に。休業手当は払われず解雇もされない「ちゅうぶらりん状態」だ。個人加盟の労働組合に相談し、会社に給与補償と仕事への復帰を求めているがなしのつぶて。なし崩し的に失業することを恐れて職探しもしてみたが、募集している会社はない。
 さらに注意が必要なのは、労働力調査の「休業者」は、休業手当など何らかの収入を得ている人に限られている点。休まされても給与が全く払われていないと統計から漏れる可能性があり、実際の休業者数はさらに多い恐れもある。
 政府も雇用調整助成金の活用を呼び掛け、休業が失業に移行するのを防ごうとしているが、制度拡充は後手に回り、オンライン申請の不備も続く。日銀元審議委員の木内登英(たかひで)氏は「統計上の休業者などは、相当数が失業に移行する『失業予備軍』といえる」と指摘。「失業率は五月に急上昇する可能性があり、最終的には戦後最悪の6%台に達すると予想している」と言う。

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