住民異動届「本籍」欄を削除 三島市、担当職員が独自判断?

2020年5月30日 08時08分

三島市の旧住民異動届(下)と、本籍が抜かれた住民異動届(ミエルカイの請求で情報開示された決裁書。主事や係長、課長の押印がある)=静岡市で(一部画像処理)

 市民が転入や転出時に記入する三島市の住民異動届が、市民課の一人の職員の独自判断で書式変更された疑いがあり、この異動届は今年四月まで三カ月弱、実際に使われていた。本紙の取材に、職員の上司に当たる係長は「書式変更の会議をしたことも、決裁印を押した記憶もない」と述べた。(広田和也)
 決裁権者の課長は「会議を開き、決裁もした」と本紙に答えるなど、役所内で発言が分かれ、梅原薫副市長は二十八日、「今後、調査する」と語った。この問題を調べた市民団体「ミエルカイ」は虚偽有印公文書作成・同行使などの疑いで県警に告発を検討する。
 市によると、市民課の三十代主事が昨年十二月二十四日に住民異動届から「本籍」を書く欄を削除することを提案。書類上、同日中に主事本人と係長、課長が決裁印を押したことになっている。新しい異動届は今年一月二十四日から四月十五日まで、使われた。
 本紙の取材に、起案した主事は「本籍は必要ないと判断した。課長、係長にもしっかり説明し、決裁を取っている」と述べるが、四十代の係長は真っ向から否定。課長は両者の食い違いを認めた上で「私は説明を聞き、決裁した。(係長が押印したかは)私には分からない」と答えた。
 係長は「本籍欄は未記入が多く、主事にきちんと書いてもらうよう指示したことがあるが、市民に書くよう求めていたら時間がかかりすぎると言われた。自分の手間を省くためではないか」と話している。印鑑は自席の鍵の掛かっていない机に入れていたという。
 ミエルカイの村上昌彦共同代表は「不祥事を穏便に収めるため、課長と主事は口裏合わせをしているのではないか」と語り、情報公開請求などを続ける。
 市民課には、異動届の変更を話し合った議事録などは残されていない。異動届は、海外からの転入者には本籍欄が必要など、業務に支障をきたす面があったとして、四月十六日に元の書式に戻された。
 静岡大の日詰一幸教授(行政学)は「少なくとも係長が聞いていないということは、本来の手続きがおざなりになっている。住民情報の管理は行政機関にとって最も大切な業務。意思決定手続きのプロセスをルール化すべきだ」と指摘した。

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