<解説>感染拡大の責任を転嫁 中国敵視を強めるトランプ氏

2020年5月30日 14時16分
 トランプ米大統領は二十九日、中国による香港への「国家安全法」導入に対抗し、香港の優遇措置見直しを表明し、WHOからの脱退も宣言した。世界中で新型コロナウイルスの脅威が収まらず、米国の感染死者数が十万人を突破する中、これまで控えてきた「武漢ウイルス」という呼称をあえて使用。中国を敵視して感染拡大の責任を転嫁する姿勢を一層強く打ち出した。
 国家安全法で香港の「一国二制度」に基づく自由と民主主義が損なわれるとの危機感は米議会にも根強く、中国に対抗措置を発動することに大きな異論はないとみられる。ただ、輸入関税の免除や香港市民の入国ビザ優遇の停止などに踏み切った場合、米企業や香港市民が打撃を受けかねない。スティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は「香港市民が不利にならないよう最善を尽くす」と述べており、トランプ政権は今後、見直しの具体的な内容や時期を慎重に判断するとみられる。
 「米国第一主義」を掲げるトランプ氏は、WHOに対しても「中国寄り」と批判する体質を組織内から改革するのではなく、脱退で圧力をかける姿勢を鮮明にした。世界最大の資金拠出国の脱退が途上国の新型ウイルス感染防止などに与える影響は大きい。国際機関からの脱退には議会にも慎重な見方があり、対中強硬という観点だけで国際協調に背を向ける姿勢に反発が強まるとみられる。 (ワシントン・岩田仲弘)

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