<新型コロナ>吉祥寺・ハーモニカ横丁 久々の活気 残る不安 宣言解除後 初の週末

2020年5月31日 07時04分

久々の活況で沸いたハーモニカ横丁。居酒屋では午後11時を過ぎても多くの客が残っていた

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の解除後、初の金曜日となった二十九日夜、武蔵野市のJR吉祥寺駅北口近くにある「ハーモニカ横丁」は久々の活況に沸いた。ただ、飲食店経営者らは「外出自粛に飽きた若者らが街に繰り出したのだろうが、この勢いが続くかは分からない」「感染の第二波も心配」などと先行きを懸念する声も聞かれた。 (花井勝規)

■自粛疲れ

 「自由に酒が飲めるって、やっぱ最高!」。奄美大島の酒や料理の居酒屋「奄美」で職場の同僚らと酒を酌み交わしていた銀行員(29)は、二月から続いた在宅勤務を振り返り、「人とのつながりや出会いという楽しみが奪われ、切なかった」としみじみと語った。
 焼き鳥店で好きな焼き鳥をほおばっていたイギリス人の英語教師シャープ・ジェームスさん(33)は「こんな日本的な酒場の雰囲気に憧れていたが、外出自粛でずっと来るのを我慢してきた」。一緒にいた日本人女性(34)と年内に挙式予定というが「新型コロナの影響で、新婚旅行の予定も立たない」とこぼしていた。
 横丁には居酒屋を中心に甘味処(どころ)やファッション雑貨店など約百店が軒を連ねる。午後十一時を過ぎても立ち飲み屋の前では通路が人であふれるほどだった。
 奄美の若師孝之店長(39)は、久々ににぎわう横丁の様子に「普段の七割程度まで戻った印象ですが、いきなり増えちゃって大丈夫なのか。かえって心配になります」と驚いた様子。 

緊急事態宣言解除後、初の金曜日。にぎわう居酒屋では久々の乾杯を楽しむ笑顔であふれた

■傷痕

 横丁で居酒屋など十二軒を経営する手塚一郎さん(72)は四月以降、70〜80%の売り上げダウンに苦しんだ。「一部の店は休業したが、ほとんどの店は自粛せず通常通りやろうと思っていた。けれども、お客さんがみな午後八時を過ぎると帰っちゃう。驚くべき同調圧力だ」と嘆く。
 吉祥寺の「東急裏」と呼ばれるエリアにあるスイーツの人気店「コマグラカフェ」は三十一日から店を再開するため、三十日は準備に追われた。外出自粛の影響で三月までは月三百万円あった売り上げが三十万円へと十分の一に激減し、四月七日から休業に追い込まれた。吉田恭子店長(44)は「吉祥寺は街のブランド力も高いので、正直、あんなに落ちるとは思ってもいなかった」。
 吉祥寺エリアの飲食店の中では既に「閉店」の張り紙を出した店があるが、シャッターを下ろしたままひっそりと店じまいする店も出てくる、というのは多くの飲食店関係者に共通した見方だ。「六月一日以降、その実態が次第に明らかになってくる」(日本酒店店長)と見る。

■懸念

 「店の規模から、三密を回避できないので閉店することにした」。コマグラカフェを経営するATENOYの米田年範代表(38)は横丁の一角にある、立ち飲みスタイルのカフェを三十一日で閉める決断をした。
 畳一畳分しかないスペースにL字形テーブルを置き、店員と客が向かい合う店では「新型コロナが完全に終わっておらず、いつ第二波が来てもおかしくない状況では、リスク回避ができない」と語る。もともとコマグラカフェのアンテナショップとして位置付けで一月に開いた店だった。本業のコマグラカフェは二十五ある座席数を半分以下に減らしての再開で、早期に軌道に乗せたい考えだ。

キッチンに面したL字型テーブル一つしかない店舗。「3密が心配」と閉店を決めた=いずれも武蔵野市で

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