<ひと物語>お客の心を豊かに 星川美容室社長・杉尾峯由紀さん

2020年6月1日 07時24分

「美容で大切なのは、美しくなって自信を持ってもらうこと」と話す杉尾さん=いずれも熊谷市で

 「みんなが美しくなったと思え、笑顔になって心が豊かになれば、世界が平和になる。『自信』が大切なんですよね」。美容師ひと筋、三十六年。熊谷市で「星川美容室」を経営する杉尾峯由紀さん(57)が美容にかける思いは深い。
 母親も美容師をしていて、子どもの頃から鏡に囲まれて育った。
 「人って、鏡の前で最も良い顔をしてるんです。鏡を見たときにふわっと出る美しさこそ、美ではないでしょうか。自分のことがきれいだと思えると心が豊かになり、気持ちが明るくなり、どんどんプラス思考になる。心を豊かにすることこそ私たちの仕事ではないか。そう思っています」
 美とは個性でもある。しかし、「らしさ」の追求だけでは不十分。その人が、他人からどう見られたいかも大事だという。
 「皆さん、こうなりたい、という理想像みたいなものがあるんです」と杉尾さん。「美容師の仕事はデザインの仕事でもある。髪だけでなく、心も体も含めて、雰囲気をつくって差し上げることが必要なんです」
 例えば、全身を見ないと、髪の毛をどうしたらいいかは分からない。服装や話ぶりから、その人の理想を考える。
 それでも美容師の側が「こうしてあげたい」という考えと、お客さんの側が「こうなりたい」という理想像が、必ずしも一致するとは限らない。「そこが私たちの最大の課題」という。
 「星川美容室」の社長になって十六年。現在は二十代から四十代まで社員が四人でパートが一人。毎週の会議で、美容について話し合う。
 はさみの扱いからブロー、化粧、着付けなど、美容師の仕事は幅広い。特に眉毛を整えるのは「眉で五年」と言われるくらい、大事な技術だという。眉毛だけで顔のイメージが変わってしまう。
 美容とは、おしゃれでもある。おしゃれとは自分を持つこと。自分の良さをアピールすること。「そういう意味では、美容師は感覚の商売」と杉尾さんは言う。
 高校から短大まで、母親の意向で米国で学んだ。「度胸がついた」と笑う。
 祖母の代から現在の場所に美容室を構えて六十五年。杉尾さんが美容師になってからだけでも三十年近く通っている客もいる。
 「来たときよりも美しくなって帰れる。そんな満足感を与えてあげられるように心掛けています」(渡部穣)
<すぎお・ふゆき> 熊谷市生まれ。「国際的な目を養うことが大事」という美容師の母親の意向で米国カリフォルニア州の高校と短大を卒業後、米国と日本で美容師の資格取得。さらにロンドン留学1年を経て、「山野芸術祭全国大会」のカット&ブロー部門で優勝。2004年、同市星川の「星川美容室」を継いで3代目社長。3人の娘の母。

星川美容室


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