においで感染者発見!コロナ探知犬 英で訓練本格化

2020年6月1日 13時53分

新型コロナウイルスのにおいを嗅ぎ分ける訓練に参加するストーム

 英国で新型コロナウイルスのにおいを嗅ぎ分ける探知犬の養成訓練が始まる。犬はこれまでも人間よりはるかに優れた嗅覚を生かし、がんなどの早期発見に貢献してきた。英政府は高い期待を寄せ、五十万ポンド(約六千六百万円)を拠出し、訓練を本格的に支援。コロナ探知犬誕生の暁には、空港などで無症状の感染者を発見するなど、感染抑止の新戦力となり得る。 (ロンドン・沢田千秋)

◆マラリアなどで実証済み

 訓練は、ロンドン大学衛生・熱帯医学大学院(LSHTM)と、英ダラム大、探知犬育成団体「メディカル・ディテクション・ドッグス(MDD)」の合同チームが手掛ける。参加する精鋭は、ラブラドルレトリバーやイングリッシュ・コッカースパニエルなど計六頭。MDD広報担当のジェマ・バトリンさんは「優れた鼻を持ち、探索とハンティングが好きな犬たちを選んだ」と話す。
 訓練では、新型コロナの自覚症状がないまま検査を受けた約三千人の陽性、陰性それぞれのサンプルを使用。人体の細胞組織ではなく、呼気や体臭がついたマスクなど感染力がなくなった物だけを使う。
 MDDは十年以上、がんやマラリア、パーキンソン病などをにおいで発見する探知犬を養成してきた。健康な子どもの靴下からマラリア感染を突き止めるなど、その正確性は85〜90%。犬の鼻には人間の六十倍にあたる三億個の嗅覚受容体があり、訓練されれば、五輪用プール二個分の水に溶かしたティースプーン一杯の砂糖も嗅ぎ分けられるレベルになるという。
 LSHTMのジェームズ・ローガン教授は「肺がんなど呼吸器系疾患は体臭を変え得るという知見がある。犬たちが新型コロナのにおいも見つけられると希望を持っている」と声明を発表。MDD共同創設者のクレア・ゲスト博士も「彼らの鼻が多くの命を救うことになれば大変な誇りとなる」とコメントした。

訓練に参加する6頭の精鋭たち=いずれもMedical Detection Dogs提供

 サンプルを使った八〜十週間の室内訓練で、新型コロナのにおいの存在と犬たちの嗅ぎ分け能力が証明されれば、現場での訓練に移行。成果が出れば、他の機関と協力し、より多くの犬を養成することになるという。

◆スピーディーな検査に期待


 探知犬は一時間で二百五十人のにおいの識別が可能で、麻薬や爆発物、食物の探知でも活躍してきた。今回も、空港やスポーツ会場、劇場、美術館など大勢が行き交う場で、特に無症状者の割り出しに期待がかかる。探知犬は検査の代用とはならないが、大勢を高速でスクリーニングできれば、限られた検査キットを無症状者に効率よく割り当てられる。そして何より、人が集まる場所で、無症状者を介した感染の抑止に大きく寄与することになる。
 英政府のベセル技術革新担当政務官は「犬の能力がもたらすスピーディーな検査に期待する。正確性を見極め、コロナ探知犬が期待通りにウイルスを発見し拡大を食い止めるか、訓練で確かめたい」と多額の助成理由を説明した。

◆犬の感染はごくわずか

 ただ、現場で犬やハンドラーが感染する危険はないのか。MDDによると、犬がウイルス感染する可能性は極めて低い上、人間を嗅ぐ際も、本人には触れず、周りの空気のみで探知するため、彼らの安全は担保されているという。
 LSHTMは、すでに複数の国の国境管理当局とも協議を開始。バトリンさんは「新型コロナは全世界で取り組む問題。もし犬たちがそのにおいを探知できるようになったら、同様の研究を行う世界中の人々と知識を共有し協力したい」としている。

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