<新型コロナ>経営悪化 防げ医療崩壊 年30億円減収見込み 足柄上病院

2020年6月3日 07時08分
 新型コロナウイルス感染症の影響で、医療機関の経営状況が悪化している。多くの感染者を治療してきた県立足柄上病院(松田町)は年間の医業収入の落ち込みが三十億円との試算が出ている。感染者を受け入れていない病院にも影響は及んでおり、経営悪化による「医療崩壊」を防ぐ取り組みは急務だ。 (石原真樹)
 「(コロナを)乗り越えられても、医療経営に与えるダメージがあまりに大きいと、日本の医療が破綻するかもしれない」
 黒岩祐治知事は五月にあった一都三県知事のテレビ会議で訴えた。例に挙げたのが足柄上病院。二月からクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の患者を受け入れ、四月には酸素吸入が必要な中等症患者を受け入れる県の重点医療機関に指定された。
 コロナ専用病棟を設置したほか、医師や看護師を集中的に配置するため救急と初診の受け入れを一時中止した。外来診療も段階的に縮小し、感染者の治療に最前線で当たってきた。
 ただ、感染者は想定ほどは増えず、通常診療を減らした分、収入が大幅に減った。五月の大型連休明けに行った試算で、コロナの診療報酬を二倍にしても四月だけで二億三千五百万円の減収。この状況が続くと、年間の医業収入は三十億円減るという。
 同じく感染者の治療に当たってきた厚木市立病院も四月は二億三千万円の減収になったという。
 医療機関の労働者らでつくる県医療労働組合連合会によると、感染者を受け入れていない病院や診療所でも感染の不安から受診者が減り、経営が圧迫されているという。黒岩知事は五月二十六日の記者会見で「国を挙げて対応する大きな課題」と話し、医療機関の経営状況や必要な支援額を調査する意向を示した。

◆「稼働病床」など体制縮小 県、来月1日めど

 県は、新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言の解除を受け、感染者を受け入れる医療提供体制を縮小し、急を要しない入院や手術などの通常医療を再開すると発表した。感染者をすぐに受け入れられる「稼働病床」は現在八百十三床あるが、七月一日をめどに六百五十床に減らす。
 県によると、重症者向けの高度医療機関を八十二床から四十床に、中等症向けの重点医療機関を三百十八床から二百六十床に、感染の疑いのある人を受け入れる重点医療機関協力病院を四百十三床から三百五十床にするという。
 ただし、再び感染が拡大すれば、「神奈川警戒アラート」を発動し、二週間以内に稼働病床を千百床に増やすとしている。
 県は四月一日、県内の医療機関に急を要しない入院や手術を抑制したり延期したりして、感染者用の病床確保に協力するよう求めていた。 (丸山耀平)

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