<メディアと世界> FacebookのCEOの方針に社員が抗議のスト

2020年6月3日 07時09分

米FB開発者会議で講演するザッカーバーグCEO=2019年4月、サンノゼで(共同)

 【ワシントン=白石亘】黒人男性の暴行死に関するトランプ米大統領の会員制交流サイト(SNS)への投稿を巡り、フェイスブック(FB)が揺れている。投稿をそのまま受け入れたザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)の方針に社員が反発、抗議のストライキに打って出た。大統領選が5カ月後に迫る中、政治家の投稿をどう扱うか、論争が過熱している。 
 「マーク(ザッカーバーグ氏)は間違っている」「社員として誇りを持てない。多くの同僚が同じ気持ちだ」。FB社員はトップを公然と批判するコメントをツイッターに相次ぎ投稿した。
 米紙ニューヨーク・タイムズによると、一部社員は一日、「仮想ストライキ」を始めた。現在は大半が在宅勤務だが、仕事を拒否するメールを送ったという。退社の意向を示す社員もおり、同紙は「創業以来、リーダーシップに対する最も深刻な挑戦」と評した。
 トランプ氏は五月二十九日、白人警官による黒人男性の暴行死事件への抗議活動について、ツイッターやFBに「略奪が始まれば、発砲が始まる」と投稿。実弾による暴徒の鎮圧を示唆したもので、ツイッターは「暴力を賛美するルールに違反する」と警告を表示。クリックしないと、閲覧できない措置を取った。
 一方、FBはトランプ氏の投稿をそのまま容認し、ザッカーバーグ氏は「差し迫った危険がない限り、できるだけ多くの表現を可能にすべきだ」と説明。またツイッターが二十六日、トランプ氏の「郵送投票は不正を招く」との投稿に、初めて事実確認を促す警告をした際も、ザッカーバーグ氏は「真実の仲裁者になるべきでない」と一線を画してきた。
 トランプ氏はかねて「ハイテク企業は保守派に偏見を持ち、検閲している」と批判し、ツイッターを規制強化でけん制する。米CNNテレビは「FBがトランプ氏の投稿に対処すれば、ホワイトハウスを怒らせるだろう。だが行動しなければ、才能のある社員の離反を招く」とザッカーバーグ氏のジレンマを指摘する。
 だが先週末に千人の米国民に行われた世論調査で、トランプ氏の投稿に事実確認を促したツイッターの警告を「支持する」との回答は54%と半数を超えた。また不正確な情報がソーシャルメディアで拡散し、大統領選に影響するのを懸念する回答も73%に達した。
 大統領選が迫る中、トランプ氏は新型コロナウイルスの感染対策のため大規模な集会を開けず、有権者に直接発信できるツールとして重要性を増すFBとツイッターに、けん制と圧力を強めている。今回、社員の突き上げを受け、ザッカーバーグ氏が動くか注目される。

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