米で「コロナ暴走」激増 ストレス発散?時速160キロ超、死亡例も

2020年6月3日 14時12分
 新型コロナウイルスの感染者が180万人以上、死者が10万人以上と世界最悪の被害となっている米国の公道では、違法な「コロナ暴走」が激増している。全米に外出禁止が広がり、交通量が少なくなった道路での無謀運転。自粛のストレスを発散したいとの自己中心的な思いもあるとみられるが、ウイルスではなく事故で自らの命を落とす例も多発している。 (ワシントン・金杉貴雄)
 「走る車が減れば事故は減ると予想するだろう。だが、われわれが見ているのは、危険な速度と運転の増加だ」。首都ワシントンの交通当局者は、時速百マイル(約百六十キロ)を大きく超える極端な速度違反の暴走が頻発する状況をワシントン・ポスト紙に語った。
 新型ウイルスの感染拡大で三月後半以降、全米各州で外出禁止令が出された。現在は制限が緩和しつつあるが、この間、交通量は激減。そして制限速度を超えて走行する車も増えた。
 ニューヨークやロサンゼルスなどの大都市では、交通量は60%から90%減少。一方で車の平均速度は75%増加し、一部都市では倍以上になったという。
 アイオワ州では三月の交通量が半分になり、時速百マイル超の摘発は前年同月比一・六倍の百三人。速度が上がれば危険も増える。ミネソタ州でも三月後半以降、毎週数十人が時速百マイル超で摘発され、四十五日間で四十二人が高速道路での事故で死亡。前年同時期比で150%となった。
 中にはこうした状況を「一生に一度のチャンス」として公道をレース場のようにみる不届き者もいる。
 米メディアによると、四月上旬に男三人が大西洋側のニューヨークから太平洋側のロサンゼルスまで約四千五百キロを二十六時間三十八分で走破したという。まるで一九八〇年代の映画「キャノンボール」のような世界だが、休憩なしだったとしても、平均時速約百七十キロで走り続けた計算になる無謀さだ。
 ロサンゼルス・タイムズ紙によると、高速道路を時速百六十五マイル(約二百六十四キロ)で走った車も見つかっている。会員制交流サイト(SNS)に動画を投稿するケースもある。
 このため、カリフォルニア、ミネソタ、メリーランドなどの各州では、特に時速百三十マイル(約二百十キロ)を超える悪質ドライバーを摘発するため、州兵も動員した。
 交通事件専門の弁護士は「人々は解雇され、収入を失い、何週間も家で親戚と暮らし、不安と欲求不満を抱えている。運転はそのはけ口となっている」と分析しつつ「危険極まりない」と警告する。各交通当局も「事故は多くの人を不幸にし、新型ウイルスに対応する医療機関にさらに負担を強いる」と批判している。

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