対韓輸出規制 見直しの機会を生かせ

2020年6月4日 07時38分
 日本の韓国に対する輸出規制強化をめぐり、両国の対立が再燃する気配を見せている。コロナ禍で経済の世界的落ち込みが予想される中、貿易制限は避けるべきだ。今が見直しの好機ではないか。
 韓国政府が世界貿易機関(WTO)に提訴する手続きを再開したのは、日本政府が昨年七月に発表した措置に対するものだ。
 日本政府は韓国の貿易管理の体制が不十分として、半導体の原材料などの韓国向け輸出を厳しくし、韓国を輸出手続きの優遇措置の対象からも除外した。
 韓国政府は、指摘を受け入れ改善したとして、日本政府に対して先月末までに姿勢を明らかにするよう求めていた。紛争がWTOに持ち込まれれば、対立の長期化は避けられない。 
 そもそも輸出管理強化は、日韓間で対立していた元徴用工問題を巡って、日本側が対抗措置として発表したものだ。
 歴史問題に経済を絡めたことは適切とは言えず、日本国内からも強い批判が起きた。しかし、韓国政府も元徴用工問題を放置したままだ。解決するための具体案を出してほしい。それが、輸出規制問題を解決する早道にもなる。
 世界に目を転じれば、各国とも新型コロナウイルス対策に追われ、穀物のほか医療用マスク、防護服などの輸出を規制する動きが広がっている。
 この問題について五月に開かれたG20貿易相会合で梶山弘志経済産業相は、「貿易制限はできるだけ速やかに解除することが重要」と呼びかけていた。
 世界が苦境に直面している中、どんな形式であれ貿易制限を行うべきではないのは当然だろう。
 さらに米中の対立が深まっており、日本も韓国も近隣諸国との関係強化が急務になっている。
 ところが日韓間では対立のあおりで、防疫をめぐる協力がほとんど実現せず、ビジネス関係者や研究者らの相互訪問すらできない。こんな不正常な状態を長引かせていいはずはない。
 韓国政府は昨年、規制強化の解除がなければ、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄も辞さない強硬姿勢だった。今回はGSOMIAの扱いには慎重で、問題を拡大させたくないという意向がうかがえる。
 日本政府はまず、韓国の制度状況や運用実態を見極める考えのようだ。問題がなくなったと判断したら、部分的にでも解除を進め、関係改善の糸口にしてほしい。

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