県内初の夜間中学を開設 常総、外国人ら20人入学

2020年6月4日 07時43分

誓いの言葉を述べる新入生代表の中村彩綾さん(中)=常総市立水海道中学校で

 常総市立水海道中学校に本年度、夜間学級が開設され、二日夜に入学式があった。県内初の公立夜間中学になる。日本語の教育を求める外国人や、不登校だった日本人など、さまざまな理由で学び直しを希望する二十人が入学し、期待に胸を膨らませた。(宮本隆康)
 国は、都道府県に一校以上の設置を目指す方針としているが、公立夜間中学は現在、十都府県にしかない。市によると、水海道中の夜間中学は三十四校目という。
 市内には食品などの工場が多く、日系ブラジル人らが働いており、外国人が人口の9%を占める。このため、市は「多文化の共生」を掲げて開設を決定。入学式は四月の予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で六月にずれ込んだ。
 新入生二十人のうち、外国人生徒は十四人、日本人が六人。国籍の内訳は、ブラジルが最多の九人で、ペルーとフィリピンが二人ずつ、ネパールが一人。年齢層は十代〜七十代までと幅広く、ほとんどが市内や近隣市から通う。
 日課は、平日の午後五時二十五分から午後八時四十五分までで、昼間の中学校と同様の各教科を学ぶ。
 入学式には、新入生十七人と家族、教員らが出席した。服部仁一校長は「さまざまな理由で十分な義務教育を受けられなかった人たちが、勉強し直したいという思いを応援する」と語りかけた。
 新入生代表の中村彩綾さん(20)は「年齢も国籍も振り返る道もさまざま。ただ全員が共通して学びたいと願っている。再び機会を与えてくれた思いに応え、勉強することを約束します」と誓いの言葉を述べた。

◆夢ふくらむ新入生 「日本語覚える」「学び直したい」

 年齢も国籍も異なり、それぞれ事情があった新入生たちは、もう一度学び直せる喜びを口にした。
 「学校は小学三、四年生までしか行けず、いつか勉強したいとずっと思っていた。こんなの、してもらったことがない。夢の世界みたい」。ブラジル国籍のタナベ・ミサコさん(74)は、入学式を感慨深そうに振り返った。日系二世で、十一人きょうだいの長女。子どもの時から親の農業の手伝いや炊事、洗濯、きょうだいの世話に追われた。約三十年前に来日し、パン店などに勤務してきた。「もう年を取ったから行けるかな」と入学を決めた。
 「平仮名と片仮名は大丈夫だけど、漢字が分からない。日本では漢字が分からないとだめ。新聞や本を読めるように、漢字を覚えるのが夢」と話す。
 ブラジル国籍のアサヌマ・デ・オリベイラさん(44)は、十八歳で来日。「ビーチ、富士山、筑波山、古い建物…。日本はきれいで大好き」といい、常総市に二十年以上暮らす。
 母国では高校を卒業し、日本語もある程度は話せる。しかし、読み書きはできず、銀行や郵便局に行った時に困るという。「もっと日本語を上手になりたいし、読むのも書くのも覚えたい」。息子が同じ中学の昼間に通い「負けないように頑張ります」と笑った。
 下妻市の主婦の平塚悠里さん(29)は小学校時代から休みがちで、いじめで中学校は不登校になり、高校も中退。「高校卒業の資格がほしい」と思っていたところ、夫から夜間中学の開設を教えられた。家族も通学に協力的といい「まともに学校で勉強をしたことがなかったが、ここならちゃんと教えてくれる。小学生の子どもに勉強を教えられる母親になりたいし、起業もしたい」と笑顔で目標を語った。

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