<アフガン見捨てない 静岡から>(下)行けるとなったら行く 日本国際ボランティアセンター・アフガニスタン事業担当・加藤真希さん(33)

2020年6月4日 07時54分

「日本国際ボランティアセンター」の加藤真希さん=2016年、アフガニスタンで(加藤さん提供)

 日本国際ボランティアセンター(JVC)のアフガニスタン事業担当・加藤真希さん(33)は、自分たちの判断で「(現地に)行けるとなったら行く」と語る。
 −中村さんの事件については。
 中村さんが亡くなったのは衝撃だが、これまでに(私たちの活動でも)現地スタッフの家族が何人も亡くなっている。数十人の親族を一度に亡くしたスタッフもいる。だからといって活動をやめたわけではない。細心の注意でも、事件は起こるときには起きる。リスクをゼロにしたいなら「行くな」「NGO活動をするな」ということになる。私たちはいつもリスクをどれだけ下げるかに心を砕き、実践している。危険があるからやめるのは、アフガンの人たちを見捨てることになるし、現場にも継続の意志がある。
 −中村さんが亡くなった後のジャララバードは。
 治安情報を提供するNGOによると、中村さんの事件は標的が明確で、NGOの活動全体に影響を与えるものではないという判断だった。NGOへの脅威が増した訳ではい。現地のスタッフも落ち着いていると言っていた。近年は無差別ではなく、標的を明確にした「ターゲットキリング」が増えているが、私たちは標的になっていない。
 −昨年四月にアフガンの事務所を現地法人化し、パートナーとして協力している。
 理由の一つとして予算縮小の中、スタッフの規模を維持するのが難しくなった。日本人が現地に行ける見込みは薄く、日々の決裁などささいなことまで日本側に責任を置いたまま運営するのが厳しかった。彼らに組織運営する能力や覚悟があったことも大きい。ただし、資金の自己調達は大きな課題で、昨年度はJVCが資金を提供した。
 −現地に入れないのは治安の問題か。
 ビザが出ないと行けない。最後に行ったのは三年ほど前。他の日本のNGOも現地に入れず頭を抱えている。もしビザが出て、治安状況が私たちの判断で「行ける」となったら行く。関係者に会ったりニーズ調査をしたりしたい。
 −米国と反政府武装勢力タリバンが和平合意した。
 タリバンの影響力が大きくなったと思う。現地法人の活動は政府の支配地域で行っているが、タリバンが強くなるとどうなるか。批判される由縁はないと思うが、注意は必要だ。
<日本国際ボランティアセンター(JVC)> アフガニスタン東部ジャララバードで識字教育やワークショップなどを通した平和構築に関わる国際協力NGO(非政府組織)。日本とアフガニスタン両政府や関係機関への政策提言も行う。現地での新型コロナウイルス感染拡大を受け、予防・啓発活動も始めた。本部は東京。

<FUJI’S>夢の実現

 戦乱が続くアフガニスタン。干ばつや新型コロナウイルスが追い打ちを掛け、人道支援の必要性は高まる一方だが、援助関係者が現地で十分に活動できていないのが現状だ。
 ペシャワール会の中村哲さんが亡くなって四日で半年。地縁血縁が強いアフガン社会で、中村さんのように中立的な立場で住民の間に立てる外国人の存在は大きい。信頼を得た中村さんだからこそ、利害を越えて物事がうまく進んだ面もあった。私自身も共に現地で働き、実感した。
 今も現地で事業が続くが、大黒柱を失いこれまで通り進むか懸念される。一方で、中村さんと長年、汗を流してきたスタッフは頼もしくもある。現地からこんなメッセージが届いた。「中村さんの夢の実現を約束する」
 記者の私にできることは書くこと。同会やアフガンへの関心を絶やさぬために。(熱海通信局・山中正義)

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