<新型コロナ>「新しい生活様式」どう行動?

2020年6月4日 08時50分

ビニールシートが張られたレジ=名古屋市で

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言の解除で店舗や施設が再開する中、各業界では、政府の示した「新しい生活様式」に合わせ、感染拡大防止のためのガイドラインを示し、さまざまな対策を打ち出している。では、消費者としては、どんなことに気を付ければよいのか。暮らしのシーンごとに探った。 (河郷丈史)

◆買い物 入店前必ず消毒

 食料品や日用品の買い物で、利用の頻度が高いのが小売店。スーパーやドラッグストア、百貨店など十二の業界団体がまとめたガイドラインでは、レジ待ちの位置の表示や試食販売の中止といった店側の対策が盛り込まれたほか、客の協力も不可欠として、滞在時間の短縮や来店回数の削減などの「買い物エチケット」も挙げた=表参照。
 名古屋市西区のスーパー「ヤマナカ庄内通店」では、商品を袋に詰めるための台をそれぞれ離して配置し、客同士の距離を確保。総菜をパック詰めで販売するなど、感染防止に力を入れる。市内の主婦(61)は「ほかのお客さんとなるべく離れるよう、気を付けている」と話す。
 買い物のエチケットを守るには具体的にどうすればいいのか。「全国ご当地スーパー協会」(東京)理事長で、スーパーマーケット研究家の菅原佳己さん(55)に聞いた。
 例えば、滞在時間を短くするポイントは、事前の買い物リストの作成。注意したいのが、メニューごとに必要な食材を書くのではなく、野菜や肉、魚などの売り場単位でまとめること。「メニューごとだと、店の中をぐるぐると歩き回ることになる」。店内の売り場のレイアウトを意識し、最短ルートで回る。
 ガイドラインでは、購入しない商品になるべく触れないように求めている。ただ、生鮮品が傷んでいないか、原材料は何かなど、手に取らないと分からないこともある。だからこそ「買い物の前に手指をしっかりと消毒する」。店の入り口に消毒液が設置されていない場合に備え、自分でも持ち歩くことを勧める。
 商品選びで試食に頼らずに済ますために、会員制交流サイト(SNS)の評判などで事前に情報を得るのも手だ。
 商品を袋に詰める台では、ほかの客と向かい合わず、対角線上に立つなどして距離を保つ。底の広いバッグを使うと詰めやすく時短につながる。レジで詰めてもらった状態で持ち帰れる「マイバスケット」が使える店なら、活用するのも手だ。自分の手指にウイルスがついている可能性もあり、商品の容器などが不要な場合も、なるべく店内のごみ箱に捨てないようにする。
 また、いつも同じ人が買い物をしていると、急に別の人が行かなければいけなくなった場合に、勝手が分からず、時間がかかったり、接触が増えたりする。家族のみんながエチケットを理解し、買い物ができるようにすることも大切だ。

◆外食 大皿料理避ける

 日本フードサービス協会などの飲食業界がまとめたガイドラインでは、料理は大皿ではなく個々に提供したり、従業員が取り分けたりすることを推奨。調味料などをテーブルに置かないことや、お酌をしたり、グラスを回し飲みしたりしないよう客に求めること、テークアウト時の予約注文の導入なども提案した。
 利用する側が何をしたらいいのかを探る動きも。大分県では、県職員と県酒造組合の有志が焼き鳥店などで、フェースシールドの着用や横並び着席などを試行。「横並びは二、三人が限界」「ハンカチで口元を押さえて話すのが現実的」などの意見が出て、県のホームページで公表している。

◆図書館・映画館など 間隔空けて座る

 図書館や映画館など人が集まる施設はどうか。全国興行生活衛生同業組合連合会がまとめた映画館のガイドラインでは、座席の間隔の確保や換気などを示した。
 全国公立文化施設協会は劇場や音楽ホールの座席のひじ掛けの使用を左右のどちらかに統一することを推奨。日本図書館協会は閲覧した資料を棚に戻さず返却台に置くことを、日本博物館協会は、触れられる展示物は原則展示しないことなどを挙げる。

◆交通機関 マスクを着ける

 JRや私鉄など鉄道事業者のガイドラインは車内や駅構内の換気のほか、利用客への可能な限りのマスクの着用を求めている。
 日本バス協会は、後部座席の利用を呼び掛けることや、一部の座席の使用を禁止して乗客や乗務員の間隔を空けることなどを規定。各地では、最前列席の使用を取りやめる動きが広がっている。タクシーの業界団体は、エアコンや窓開けで換気することや、余裕があるときは、できるだけ後部座席の利用を求める。

◆公共トイレ ふたを閉め流す

 業種を問わず対策が求められるのが、トイレの感染防止策だ。政府の専門家会議が示した留意点では、トイレは「感染リスクが比較的高い」として、便器のふたを閉めてから汚物を流すことや、温風で手を乾かすハンドドライヤーの使用中止などを求めた。
 店舗や施設で利用する場合は、ふたを閉め忘れないことやハンカチを持ち歩くことを意識したい。短時間の外出ならあらかじめ自宅で済ませておくことも求められそうだ。

◇「互いの安心」守る意識を

 公衆衛生学が専門で、小売業などのガイドラインを監修した国際医療福祉大の和田耕治教授(45)に、新しい生活様式に消費者が向き合うポイントを聞いた。
 新しい生活様式の基本は、なるべく他人との距離を空ける、会話時はマスクをする、きちんと手洗いをする、の三つ。店や施設を利用する時も状況に合わせ実行する。
 ガイドラインは対策の一つのモデル。現場の実情に合ったマニュアルを作り、柔軟に対応する必要がある。座席を空けるといっても、カップルで来ているなら隣同士で座らせ、ほかの客との間隔は空けるといった対応でいいのでは。流行状況を見て対策を強めることも求められる。
 「マスクをしていないなら店から出ていけ」などと、誰かを責めるようなやり方では続かない。しなければいけない、ではなく、することでお互いが安心するようなイメージ。できる人は積極的に行いたい。
<新しい生活様式と業種別ガイドライン> 国は、人と人の距離の確保やマスク着用などの「新しい生活様式」を提示。これを受け、各業界団体はそれぞれの対策をまとめたガイドラインを策定しており、小売店や飲食店、文化施設、交通機関など130以上ある。感染拡大を防ぐための自主的な指針で、強制力はなく、罰則規定もない。

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