新宿区、期限前にネットカフェ難民をホテル退出させる

2020年6月4日 14時43分

臨時休業を知らせる看板が設置されたインターネットカフェ=4月、都内で

 新型コロナウイルスの感染拡大でインターネットカフェなどが休業し、居場所を失った人に東京都がビジネスホテルを提供している救済事業で、新宿区がホテル利用者九十八人に、五月末の退出を促していたことが分かった。実際に退出した人のうち八十九人(二日時点)の所在が分からなくなった。都はホテル利用期間を十四日まで延期していたが、区の担当者は「利用期限が来る前に、次の支援につなげるためだった」と話している。 (中村真暁)
 ネットカフェへの休業要請が続いているため、都は五月二十二日、各自治体に、ホテル利用を当初の五月末から六月七日に延期すると通知。一日には十四日までの再延期を知らせた。
 区によると、区の窓口を経由した五月末のホテル利用者は百七十二人。そのうち七十四人が生活保護制度につながったが、九十八人は行き先が決まっていなかった。
 区は五月二十九日、利用者に「ホテル利用は五月三十一日(チェックアウト六月一日朝)まで。生活の相談をしたい方は福祉事務所にご相談ください」などと書いた用紙を配布。利用期間の延期は知らせなかった。これを受けて、退出した九十八人のうち、九人は福祉事務所に来てホテルに入り直したが、八十九人の行方は分かっていない。
 都は、退出を求めるのは事業の趣旨に反すると区に説明したが、「結果的には押し切られた」(都担当者)という。都によると、同様な対応をとっている自治体はない。区の担当者は「利用期限前に、行き先を決めることが大切だが、相談に来ない人もいる。本当に困っている人は退出後に福祉事務所に来てもらう考えだった」としている。

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