都知事選「敗北」リスク避けた与野党 双方が独自候補見送る異例の展開

2020年6月5日 07時55分
 東京都知事選(十八日告示、七月五日投開票)は四日、与野党の対決構図がほぼ固まった。現職の小池百合子知事(67)が新型コロナウイルス感染症対策で注目を集める中、与党第一党の自民党、野党第一党の立憲民主党がいずれも、独自候補の擁立を見送る異例の展開。自民は小池氏、立民は元日弁連会長の宇都宮健児氏(73)をそれぞれ支援する。両党とも、今後の党運営や次期衆院選をにらみ、独自候補が敗れるリスクを避けた。 (大野暢子、井上峻輔、岡本太)
 立民東京都連は四日の常任幹事会で、宇都宮氏の支援を決めた。手塚仁雄(よしお)都連幹事長は「政策は全面的に一致するわけではないが、親和性は高い。最適の候補だ」と記者団に述べた。近く党本部が了承する。過去二回の都知事選で宇都宮氏を推した共産、社民両党も三たび支援する。
 国民民主は自主投票に傾いており、野党四党の共闘は困難になった。国民には、小池氏が二〇一七年衆院選で立ち上げた旧希望の党に所属していた議員が多く、小池氏との対決に抵抗感が強い。手塚氏は国民との間に「少し足並みの乱れがあった」と認めた上で、引き続き共闘を呼び掛ける考えを示した。
 野党四党は当初、統一候補の擁立を目指した。立民の蓮舫参院議員や前川喜平元文部科学次官の名前が挙がったが、いずれも立ち消えになった。新型コロナの感染が拡大し、都の対策の陣頭指揮を執る小池氏の存在感が一気に高まったからだ。れいわ新選組の山本太郎代表も統一候補としての出馬を検討したが、立民と合意に至らなかった。
 立民が独自候補にこだわって小池氏に惨敗すれば、衆院選の野党共闘に痛手となることから「ぱっとしない候補を出して野党の足並みがそろわないことは避けたい」(関係者)との意見が強まった。少なくとも共産、社民との共闘の形を整えるため、無所属で出馬を表明している宇都宮氏の支援を事後に決める「プランB」(同)に落ち着いた。
 党が前面に出て小池氏に負ける事態を避けたい思惑は自民党も同じだ。小池氏と気脈を通じる二階俊博幹事長は当初から「知事を代えなきゃいけない理由は見つからない」と公言。独自候補を出して再び小池氏の後塵(こうじん)を拝すれば、安倍政権に打撃となるからだ。
 これに対し、都連は都政奪還を目指し、昨年から独自候補の擁立を探った。前回の都知事選で推薦候補が小池氏に敗れ、三年前の都議選では小池氏率いる都民ファーストの会に惨敗。都議会での関係も冷えきっていた。だが、二階氏が都連に求めた「小池氏に勝てる候補」は見つからず、新型コロナの感染拡大と同時に主戦論は雲散霧消した。
 当の小池氏は三日、自民党本部に二階氏を訪ね、会談後にそろって記者団の前で蜜月関係を誇示した。二階氏は「全力を尽くしてコロナとの闘いに勝利するよう頑張ってください」と激励。小池氏は、都知事選の話は「なかった」と笑顔でとぼけてみせた。
 都知事選にはこのほか、NHKから国民を守る党の立花孝志党首(52)、熊本県の小野泰輔副知事(46)らが出馬を表明している。小野氏は四日、日本維新の会の馬場伸幸幹事長、音喜多駿参院議員(東京選挙区)らと相次いで面会した。馬場氏は記者会見で、小野氏が望めば、支援を検討する考えを示した。

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