10兆円予備費巡り与野党攻防 野党「白紙委任できない」、首相は必要性強調

2020年6月5日 08時04分
 政府が新型コロナウイルス対策として二〇二〇年度第二次補正予算案に計上した十兆円に上る予備費を巡り、安倍晋三首相は四日の参院厚生労働委員会で「臨機応変かつ時機を逸することなく対応することが必要だ」と必要性を強調した。野党側は「白紙委任はできない」と、与党側に減額修正を要求。五日以降も与野党間で協議を続ける。
 首相は参院厚労委で、十兆円の使い道について、新型コロナ関連で緊急を要する経費に限ることを改めて説明し、理解を求めた。
 十兆円の予備費は過去最大。第二次補正予算案の歳出総額約三十二兆円の三分の一近くを占める。例年は三千五百億~五千億円程度で推移しており、一一年の東日本大震災後に積み増した際も約二兆円で、今回の規模は突出している。
 一方の野党は四日の衆院議院運営委員会理事会で、立憲民主党の手塚仁雄氏が「減額、再考すべきだ。桁が違うのではないか」と反発。共産党の塩川鉄也氏も「財政民主主義に反する」と批判した。
 憲法八三条は「国の財政の処理は国会の議決に基づく」と定め、国民の代表である立法府の関与を求める財政民主主義の原則を明記する。予備費は八七条で予測できない事態への備えとして計上を認めているが、例外で限定的な措置として支出後に国会の承諾を得るよう求められ、決算として審議される。
 与野党は予備費の取り扱いを巡り、自民党の森山裕、立民の安住淳両国対委員長が断続的に協議。安住氏は協議後、記者団に「何にどう使うのかを明示した予算に変えてほしいと訴えてきた。歩み寄りは可能ではないか」と語った。
 安倍政権は、辞職した黒川弘務前東京高検検事長の定年延長問題などで、野党から厳しい追及を受けている。巨額の予備費計上の背景には、新型コロナ対応で国会審議が必要になる場面が想定される中でも、今月十七日が会期末の今国会を延長せずに閉幕させ、追及を回避したいとの思惑が見え隠れする。 (妹尾聡太)

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