麻生氏の「民度違う」発言 度重なる失言「またか、で済ませてはダメ」

2020年6月6日 06時51分

参院財政金融委員会で答弁する麻生太郎財務相=4日、国会で

 過去に物議を醸す発言を繰り返してきた麻生太郎財務相が、日本の新型コロナウイルスによる死者数が欧米諸国より少ない理由を「国民の民度のレベルが違う」と述べた。外出自粛が効果を上げたと誇りたかったらしいが、アジアの中では日本の死者数は多い。「欧米諸国の民度が低い」とも取られかねず、「軽率すぎる。『また麻生氏か』で済ませてはいけない」との声が上がる。 (中山岳)
 発言が出たのは、四日の参院財政金融委員会。自民党の中西健治氏が、都市封鎖したフランスなどと比べて日本は緩やかな統制で感染を抑えたとし「自由を守り続けてきたのは価値が高い」と持ち上げた。答弁を求められた麻生氏は、外国から電話で問い合わせがあったとした上で「『おたくとうちの国とは国民の民度のレベルが違うんだ』って言ってやると、みんな絶句して黙る」と応じた。
 五日の記者会見で発言の趣旨を問われ、「(他国を)おとしめるというのは違う」などと釈明した。
 札幌医科大の調査によると、四日時点の人口百万人当たりの死者数は、日本は七・一人。英国(五八五・二人)、フランス(四四四・六人)、米国(三二三・八人)より圧倒的に少ない。一方、アジアで比べると事情が異なり、韓国五・三人、中国三・二人、台湾とタイは一人未満にとどまっている。
 そもそも、死亡率だけで対策の優劣を判断するのは難しい。同大講師の井戸川雅史医師(ゲノム医科学)は「国ごとに衛生環境が異なる。日本の死者数が欧米より少ない理由は科学的に明らかになっていない」と説明する。
 麻生氏の失言は枚挙にいとまがない。昨年二月に福岡県で開いた国政報告会で、少子高齢化について「年寄りが悪いみたいなことを言う変なのがいっぱいいるが、間違ってる。子どもを産まなかった方が問題だ」と発言。二〇一三年七月には改憲の手法を巡り「(ナチスの)手口を学んだらどうか」との暴言が出た。〇七年七月には日本と中国とのコメの価格差を「アルツハイマーの人でも、これくらいは分かる」と語っている。
 今回の発言を政治アナリストの伊藤惇夫氏は、外相も経験した麻生氏が人々の生活や文化の程度を示す「民度」という言葉を安易に使った点を問題視する。「国会で言ったのが驚きで、閣僚辞任ものだ。海外で国際社会への挑戦と取られ、日本に厳しい目が向けられる可能性もある」
 伊藤氏は、度重なる失言から見える麻生氏の資質を「居酒屋での雑談のようなべらんめえ調子で話し、内輪話なら楽しく、座談の名手ともいえる。だが、公私の区別をつけられない」と切り捨てる。吉田茂元首相を祖父に持ち、福岡の実家が財閥という出自も影響しているとする。「恵まれた環境で育ち、発言を注意されたことがなかったのだろう。弱い立場にある人々への想像力が働いていない」
 駒沢大の山崎望教授(政治理論)は「国内で飲食店の閉店や倒産が相次ぎ、失業者も増えている。麻生氏はそうした苦しんでいる人々に意識が向いていない。だからあんな発言が出てくる」と批判し、こう主張する。
 「麻生氏が舌禍を繰り返しても安倍首相は責任を問わず、国民の間には『麻生氏だから』とあきらめのような雰囲気が生まれる。このこと自体が長期政権の弊害だ。発言を不問にすれば日本の民度こそ問われる」

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