脱北者団体が北朝鮮批判の大量ビラ 与正氏が非難「人の価値もないクズ」

2020年6月6日 06時58分

ソウル近郊で5月末、北朝鮮に向けてビラを風船で飛ばす脱北者団体メンバー=関係者提供

 【ソウル=相坂穣】韓国の脱北者団体が、北朝鮮指導部を批判するビラを南北軍事境界線付近でまく活動を繰り返し、文在寅(ムンジェイン)政権の対北融和政策に影を落としている。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹の金与正(キムヨジョン)党第一副部長が活動を非難する談話を発表したほか、朝鮮労働党統一戦線部は五日、対抗措置として北朝鮮開城(ケソン)の南北共同連絡事務所を廃止すると明らかにした。
 脱北者団体は五月末に「戦略核兵器で衝撃的行動をする偽善者、金正恩」などと書いたビラ数十万枚を風船につけて北朝鮮に向けて飛ばしていた。与正氏は談話で脱北者を「人の価値もないクズ」と激しく非難。あらゆる敵対行為の禁止を盛り込んだ南北軍事合意に反するとして、韓国政府が再発防止策を取らなければ同合意の破棄もありうると警告した。文政権が推進する南北共同事業の中核である北朝鮮南西部の開城工業団地の撤去にも言及した。
 韓国統一省は四日、南北の緊張につながるビラをまく活動が過去にも数回あり、中止を求めてきたと説明。同省副報道官は五日の会見で「ビラ問題が境界線周辺の住民の生命、財産の危険を招いている」と述べて脱北者団体を批判したが、与正氏の談話への遺憾表明はしなかった。
 これに対して脱北者団体は、電話やインターネットの使用が制限されている北朝鮮の住民に、外部の情報を伝えるビラを韓国政府が禁止することは表現の自由の侵害だと反発を強める。
 脱北者の人権活動家として知られ、五月三十日に国会議員に就任した保守系最大野党未来統合党の池成浩(チソンホ)氏は四日の記者会見で、政府を「南北協力のために北朝鮮の顔色ばかりをうかがっている」と批判。「知る権利は人権だ。国会議員として北朝鮮住民が知ることのできるチャンネルを確保していく」と述べた。
 池氏は二〇〇六年に脱北し、住民の飢餓や拷問被害を告発。一八年にトランプ米大統領の一般教書演説に招かれ、知名度が高い。

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