山北のお茶、ドイツ・ミュンヘンに販路 栽培歴50年・井上正文さんらプロジェクト

2020年6月6日 07時07分

「山北を元気にしたいと、たくさんの人が集まってくれてありがたい」と話す井上さん=いずれも山北町で、ミュンヘン山北お茶プロジェクト提供

 山北町の緑茶をドイツ・ミュンヘンで広めるプロジェクトが始まった。五月上旬に刈り取った一番茶を製茶した新茶十キロが近く空輸される。新たな販路の開拓につなげ、農家のやる気を引き出し、後継者が出てくることを関係者は期待する。(小形佳奈)
 ミュンヘンに送るのは、栽培歴五十年の井上正文さん(75)の緑茶。四十アールの畑のうち十アールで農薬を使わず栽培している。ただ、ここ数年はイノシシに畑を何度も荒らされ、気力を失いつつあったという。低収入や後継者不足で栽培仲間が減っているのも気掛かりだった。
 転機は昨年四月。ミュンヘンなどで活躍している横須賀市出身の声楽家松永知史(ちふみ)さんが町内にある大野山の山開きに訪れ、井上さんが案内した。ヨーロッパで日本食への関心が高まっていると聞き、自分のお茶が海外で通用するか試したいと思うようになった。
 直後に松永さんから「ミュンヘンのコーヒー豆店が日本の緑茶を扱いたいそうだ」との知らせが舞い込んだ。コロンビア産のコーヒー豆を店舗とネットで販売する店だが、店主が「ドイツ人は肥満に悩む人が多い。ヘルシーな和食に合う緑茶がブームになる」と話していたという。
 知り合いで横浜市の精密機械開発会社取締役、浅井一実さんが仕事でミュンヘンに行くと聞き、すぐに新茶を託した。
 帰国した浅井さんから聞いた反応は上々だった。「色がきれい。夏はアイスティーをお客に勧めたい」。水出しした緑茶をガラス容器に入れたところ、店主は感激していたという。そこから活動は本格化。松永さんら町内外の約二十人と「ミュンヘン山北お茶プロジェクト」を結成し、包装デザインや収支計画などを話し合ってきた。イノシシが荒らした畑はメンバーが駆けつけて修復した。
 「海外の人に飲んでもらう夢がかなうかも。営農意欲が戻ってきた」と井上さん。プロジェクトを軌道に乗せて茶農家の意欲を高め、さらには山北の自然を気に入り移住してくる若者に技術などを引き継ぎたいと考えている。
 今回送る緑茶は、百グラムずつパック詰めされ、英語で入れ方を説明するチラシを添えて売られる予定。お茶の入れ方や茶畑の様子を動画で紹介する英語のウェブサイトもメンバーが制作中だ。
 緑茶は国内でも販売している。百グラム千円(送料別)。問い合わせは、ミュンヘン山北お茶プロジェクト=メールmunic.yamakita.greentea@gmail.com=へ。

イノシシが荒らした畑の修復に駆けつけたメンバーら。前列左から2人目が井上さん=2月撮影

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