ハードラーが五輪への思い語る 陸上男子障害代表 2選手がネット対談

2020年6月7日 06時59分

オンラインで近況を報告しながら、対談をする松下祐樹(左)と、金井大旺

 リオデジャネイロ五輪陸上男子400メートル障害代表の松下祐樹と、男子110メートル障害で前日本記録保持者の金井大旺(ともにミズノ)がオンラインで対談した。金井は東京五輪で競技生活に区切りをつけ、歯科医師を目指すことを決めている。新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言下での練習状況や1年延期となった五輪への思いなど、率直に意見を交わした。 (構成・森合正範)
 松下祐樹 普段と違って、何百メートルも直線が続く荒川の河川敷を走っている。カーブがなくて、400メートルずっと同じ動きの練習ができるのは新鮮。でも、コンクリートの路面は、足の末端、ふくらはぎ、足首に疲労がくる。練習はどう?
 金井大旺 施設が閉鎖されて、ウエートトレーニングができない。ダンベル、チューブを買って筋肉の細かい部分を刺激するトレーニングをやっている。新しい気づきもあるので、コロナが収束しても継続していきたい。
 松下 ハードルは跳べている?
 金井 いえ、跳べないのはつらい。動画を見直して、改善点を考えたり。再開すれば感覚はすぐ戻ると思う。
 松下 動画を見たり、ちょっとした動きを取り入れたり、感覚さえなくさなければ元に戻る。工夫すれば、やれることはたくさんある。
 金井 最初はどうしても焦りがあった。でも落ち着いて改善点を考える時間ができた。それはよかったなと思う。

リオデジャネイロ五輪の男子400メートル障害予選で力走する松下祐樹 =2016年8月(共同)

 松下 競技はできない。試合もない。自分たちの価値をどう見いだすか。SNS(会員制交流サイト)や動画もあるけど、選手としての個性や力、走りはやっぱり試合でしか見てもらえない。試合あってこそのアスリート。試合をすることで価値が上がっていくんだなと強く感じている。
 五輪後に歯科医師の道へ進む計画は変わらない?
 金井 はい。大学をどこにしようかなと。なので、今は家で2〜3時間の勉強と読書。あとは練習。これまで家で練習をしたことがなかった。最初のころは集中できず、1時間の補強トレーニングが3時間もかかってしまった。
 松下 スイッチの入れ方が難しい。家で補強するときは、タイマーのアプリを使っている。嫌だなと思っても、タイマーを起動させて、3、2、1とカウントダウンするから、もう無理やり始める。でも、それでスイッチが入る。大会は不透明だし、今は一日を全力で過ごすことが大切。
 金井 もし、試合がなくなったらと考えると体も心も疲れてしまう。今はできることを集中してやっている。
 松下 これまでも一年一年、その年を全力でやってきた。五輪が1年延期になってもやることは変わらない。でも、一人の国民として考えると、こういう状況で、世界中の選手が五輪で日本に来てくれるのかなと少し心配がある。

世界選手権の男子110メートル障害予選に臨む金井大旺=2019年9月、ドーハで(共同)

 金井 一競技者としては、コロナが収束して五輪で何も心配せずに競技をできるようになってほしい。僕は五輪にこだわりがあって、五輪のために競技をやっている。どうしても出場したい。
 松下 東京五輪の翌年にある世界選手権(米国)は?
 金井 五輪しか考えていない。五輪で出し切りたい。
 松下 その覚悟はいい。五輪は4年に1回。逃したらもう次はない。しかも世界選手権とは周りの反応が全然違う。
 金井 僕たち選手は出る基準も変わらない。でも五輪のスケールの大きさを感じる。
 松下 アスリート以上に国民は五輪に関心が高いと思う。リオでは地元をあげて応援してもらった。来年は同じチームの野沢(啓佑)と3人で五輪に出られたら最高。助け合いながら、一丸となって頑張っていこう。
      ◇
<まつした・ゆうき> 神奈川・小田原高から順大。大学までは十種競技。2015年日本選手権男子400メートル障害で優勝、世界選手権で準決勝進出。16年リオデジャネイロ五輪代表。28歳。神奈川県小田原市出身。
      ◇
<かない・たいおう> 北海道・函館ラサール高から法大。2018年日本選手権男子110メートル障害で優勝。決勝で13秒36をマークし14年ぶりに日本記録更新。19年世界選手権代表。24歳。北海道函館市出身。実家は歯科医院。

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