県民投票条例案、知事の意見に焦点 東海第二再稼働の賛否を問う

2020年6月7日 08時00分
 日本原子力発電東海第二原発(茨城県東海村)の再稼働の賛否を問う県民投票条例案が、8日開会の県議会で審議される。焦点の一つは、大井川和彦知事が条例案提出の際に付ける「意見」。知事のスタンスは、県政与党で議会の過半数を占める自民党会派の対応を占うためだ。先行事例では、住民投票の実施に慎重な意見を付けた首長も少なくない。 (宮尾幹成)
 「県民の意見を聞く方法はまだ検討段階。議会の判断を慎重に見守りたい」。東海第二再稼働に同意するかどうかの判断に当たっては「県民の意見を聞く」と繰り返してきた大井川氏だが、五月二十六日の記者会見では歯切れが悪かった。
 県民投票条例案は、地方自治法に基づく住民グループの直接請求を受けて上程される。二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故以降、大阪市、東京都、静岡県、新潟県、愛媛県八幡浜市、宮城県で同様の直接請求があった。
 このうち、条例案に賛成した首長は一二年の川勝平太静岡県知事と泉田裕彦新潟県知事(当時)のみ。この二例も含め、条例案はいずれも議会で否決された。
 一方、条例案に反対した首長には、間接民主制の選挙で選ばれた首長や議員が住民を代表し、住民投票のような直接民主制的プロセスは不要との意見が目立つ。だが、住民投票に詳しい佐藤嘉幸・筑波大准教授は「知事選や県議選では経済が主要な争点で、原発再稼働が争点になってきたとは言い難い。県民投票は、間接民主制がすくい取れてない論点を補完する重要な手段だ」と指摘する。
 条例案が定める投票資格が、反対理由に挙げられたケースもある。
 一二年の石原慎太郎東京都知事は「永住外国人を含む十六歳以上を投票資格者とすることに疑義がある」と批判。条例案には賛成した泉田氏も、投票資格者が公職選挙法上の有権者と異なり、投票事務の負担が大きいと注文を付けた。
 こうした教訓から、茨城県の住民グループが直接請求に添えた条例案は、投票資格者要件を有権者と同じ日本国籍がある十八歳以上とした。県議会は、閉会日の二十三日に採決する。
      ◇
<東海第二原発再稼働の賛否を問う県民投票条例案> 茨城県の住民グループ「いばらき原発県民投票の会」が直接請求に必要な署名を募り、法定必要数(県内有権者数の2%)の1.78倍に当たる8万6703筆を集めた。5月25日、大井川和彦知事に直接請求した。

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