<コロナと生きる@いばらき>第1波の後に(中)教育 「間に合う」焦る受験生

2020年6月7日 07時43分

「カリキュラムが終わるか心配」と話す女子生徒=水戸市内で

 新型コロナウイルスの影響で休校が長期化する中、来春に高校受験を控える水戸市の中学三年生の女子生徒(14)は、不安な日々を過ごしてきた。「カリキュラムが終わるのかな」
 女子生徒が通う市内の公立中学校が臨時休校に入ったのは三月三日。約三カ月ぶりに六月八日から通常授業が再開される予定だ。この三カ月間、登校日はあっても短縮授業が続き、授業時間はかなり少ない。
 授業がない代わりに、学校からは教科別に大量のプリントが課題として出された。休校で積み残された二年生後半や四月以降に習う予定だった三年生の教育内容だ。分からなければ、自力で調べなければならず、個人が配信する動画投稿サイト「ユーチューブ」の解説動画を探して見た。
 プリントのほかに問題集も配布され、授業はなくても「課題漬け」の毎日だ。通信教育も受けているが、学校の課題に追われて手が付けられない。
 休校中、手を抜かずに勉強していたが、二カ月遅れで始まる新学期に気をもむ。「カリキュラムを終わらせようとして授業が早く進んでしまいそう。そうしたら内容が分からなくなる」
 授業時間を確保するために、水戸市は夏休みを十六日間に短縮する予定。中学三年生にとって夏休みは、受験勉強に集中できることから「受験の天王山」と呼ばれる重要な時期。「受験勉強に充てる時間が減るかもしれない」と心配の種は尽きない。
 母親(39)は、教育環境の格差に不安を感じている。娘の中学校とは異なり、市内の別の中学校では、教科書に沿った学習支援の動画を独自で配信している。「学校間で差が出ていると感じる。オンライン授業を取り入れるなど、社会に合わせた教育環境を整えてほしい」と訴える。
 その上で、今回の長期休校を機に、教育現場の変化を求める。「今の中学生は課題が山積みで、自分のペースで勉強をしづらく、自分で物事を考える力を養うのが難しそう。教員の長時間労働も問われているので、現状を見直す機会になるといい」

◆オンライン学習に格差

 県教育委員会や一部の学校は、休校中の児童生徒の学習を支援するため、動画を使って教科書の内容を解説する取り組みを進める。
 県教委は、独自の学習支援サイト「いばらきオンラインスタディ」を開設。四月中旬から、小中学校の教科書の内容に沿った解説動画を配信している。動画は各自治体の教員らが作成し、これまでに配信した動画は約千本に上る。
 独自で動画を配信している学校もある。水戸市立笠原中学校は、学校のユーチューブチャンネルに、課題のプリントに合わせて、教員が解説する動画をアップした。
 学校によると、生徒の学習サポートや教員とのつながりを感じてもらうために、四月下旬から始めた。久保智佳子校長は「こういう機会がなければ、情報通信技術(ICT)を活用した教育もなかなかできなかった。教員の技術力向上にもつながった」と手応えを実感する。
 授業のカリキュラムが終わらないという不安について、県教委義務教育課の担当者は「夏休みを短縮して対応する」と説明する。現時点では、来春の県立高校入試も、例年通りの出題範囲で実施予定だが、感染拡大が再度起こり、再び臨時休校を余儀なくされた場合は、出題範囲の変更もありうるとしている。
 一方、学習支援の動画は端末を使える環境がなければ利用できないほか、低学年の小学生は一人で動画を見ながら学習するのが難しく、保護者が付き添う必要があり、家庭により差が出る恐れがある。さらにオンライン授業の環境整備は各自治体任せで、教育格差が課題として浮かび上がっている。 (松村真一郎)

◆県内の学校休校を巡る主な動き

2月28日 県が春休みまでの県立学校の臨時休校を決定、全44市町村が追随
 4月6日 県内の多くの学校で始業式
      県が県南地域を中心に県立高を臨時休校に
   9日 小中学校の臨時休校が全市町村に拡大
  13日 県立学校が一律臨時休校に
 6月8日 県立学校と大半の小中学校が再開(予定)

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