「月とスッポン」の新たな関係 トヨタ紡績と岐阜大が発見

2020年6月8日 07時26分
 月の引力が引き起こす満潮に合わせてスッポンに餌を与えると、成長初期の体重の増加幅が通常と比べて平均で1.6倍になるという現象を、トヨタ自動車グループのトヨタ紡織(愛知県刈谷市)が岐阜大との研究で確認した。「月とスッポン」は懸け離れたものを例える言葉だが、新たな関係を示す発見として学会に発表した。食料問題の解消に向け、養殖への応用を目指す。 (鈴木龍司)
 自動車シートなどを手掛ける同社は、SDGs(持続可能な開発目標)の観点で食料の増産に向けた基礎研究を重視。中でも月の引力や天体間の遠心力などで生じる「起潮力(きちょうりょく)」と呼ばれる力の影響に着目し、二〇一七年度から岐阜大応用生物科学部と高栄養価で高付加価値が望めるスッポンの実験を始めた。
 実験は二つの水槽に同数の稚亀を入れ、一方は一日に二度ある満潮の一回、もう一方は午前十時に同量の飼料を与えて経過を観察した。天然に近い養殖の池と似た条件で重さ約五・七五グラムの稚亀を二十五匹ずつ十四週間、飼育した研究では、満潮時に餌を与えた側は平均二三・七五グラムに成長。午前十時側は平均一六・九七グラムで、成長量に一・六倍の差が出た。
 満潮になった地域では、月の引力などにより重力がわずかに軽減された状態になるとされ、栄養の吸収などに影響している可能性もある。ただ、同社の担当者は「現象面の確認にとどまり、メカニズムは分かっていない」と説明。研究結果は昨年、日本水産学会で報告し、今後は出荷サイズ(約八〇〇グラム)に育つまでに必要とされる約十四カ月の期間短縮が可能かなどを調べる。
 同社は、起潮力の変化に合わせて光を調整すると、レタスの成長が促進されることも確認しており、研究を進めている。同社新領域開拓部の大桑政幸部長は「食料問題という大きな課題に対し、研究を掘り下げ、挑戦することで、ブレークスルーにつなげたい」と話している。
<起潮力> 月が地球に及ぼす引力と、地球の遠心力などを合わせた力のこと。月に近い側は月の引力が強く、裏側は遠心力が月の引力を上回る。このため地球の両端は引っ張られるように伸び、満潮になる。重力もわずかに下がる。昔から「種まきは満月」と言われるなど、月と生物の関係を指摘する説は多い。

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