政府コロナ対策本部には議事運営規則なし 首相1人でも意思決定可能

2020年6月8日 07時08分

緊急事態宣言の解除が公表された5月25日の新型コロナウイルス感染症政府対策本部会合

 新型コロナウイルス感染拡大防止策の方針を決める政府の会議体「新型コロナウイルス感染症対策本部」が、会議を開くために必要な出席者数や意思決定に関する基準などを定めた「議事運営規則」を作成していないことが内閣官房への取材で分かった。専門家は「市民生活を制限する大きな決定をする会議体だけに、きちんと決めておくべきだ」と指摘する。 (石井紀代美)
 政府は一月三十日、閣議決定で対策本部を設置。三月二十六日には改正新型インフルエンザ特措法に基づく対策本部となった。今月四日までに計三十七回開催。本部長は安倍晋三首相が務め、構成員は全閣僚のみとなっている。
 主な役割は、対策の方向性を示す「基本的対処方針」の策定。市民の外出やイベント開催への自粛要請、施設の使用制限を行うとしている。対策本部では、二月二十七日に唐突に全国一斉休校が打ち出されるなど、直前まで安倍首相周辺しか知らないことが決定されることもあった。
 対策本部の事務局を務める「内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室」の横山悠里恵氏は、本紙の取材に対し「内閣官房に会議体は複数あるが、構成員が閣僚の場合は規則がないのが普通」とし、意思決定については「あらかじめ省庁間で議論し、意見調整されたものを全閣僚出席の本部で決定している」と説明。意見が割れる事態は想定しておらず、規則がなくても問題は起きないという。
 ただ、閣僚で構成する会議体でも、外交や国防を扱う「国家安全保障会議」は、開催に必要な出席人数や意思決定の基準を規則で定めている。
 法政大の山口二郎教授(政治学)は「ルールがなければ、論理上、出席者が誰もいなくても安倍首相一人で本部全体の意思決定をすることが可能だ。コロナ本部は首相の私的諮問機関などとは異なり、法に基づく重みのある会議体。あり得なさそうなことでも、それを防ぐために決めておく必要がある」と話している。

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