ホテル延長願い拒絶 ネカフェ難民男性が受けた冷たい対応

2020年6月9日 06時55分

ホテルから退出し、ネットカフェを利用していた男性=東京都新宿区で

 新型コロナウイルスの影響によるインターネットカフェなどの休業で行き場を失った人にビジネスホテルを提供する東京都の救済事業を巡り、新宿区が利用延長できることを伝えずに退出させていた問題で、やむを得ずホテルを退出した男性(44)が取材に応じた。男性は区に電話や対面で相談をしたが、ホテルの利用延長を断られていた。支援団体は八日、こうした対応への抗議文を区に提出した。 (中村真暁)
 男性は都による休業要請後の四月下旬から、区内ホテルを利用してきた。区は五月八日、ホテル利用は三十一日までとする文書を配布。しかし、一部の利用者が延長されたと知り、男性は二十七日、区の福祉事務所に二回電話し、二十九日午前には訪問もした。
 区職員は生活保護などを利用すれば延長できると話をしたが、男性が生活保護には頼りたくないと告げると、「延長できません」ときっぱり。「ホテル利用は三十一日(チェックアウト六月一日朝)まで」と書かれた区の文書が、部屋のドアの隙間から入れられているのを見つけたのは、その日の午後六時ごろだった。
 「ホテルを出た後は営業していたネットカフェを見つけて寝泊まりした。出費が増え、所持金は二万円ほどになったが、支援団体の炊き出しなどを受けていた。ホテルにいられなかったのは残念だ」と困惑した様子で話した。
 一方、都は五月二十二日、ホテルの利用期限を五月末までから六月七日までに延長。さらに六月一日、期限を十四日までに延長した。記者の取材に応じた五日まで、それを知らなかった男性は「ひどい」と言葉を失った。
 男性が支援団体に相談し、同様にホテルを退出させられた友人とともに八日に区福祉事務所を訪れると、再び入ることができた。
 こうした区の対応に抗議するため、約三十支援団体による「新型コロナ災害緊急アクション」はこの日、利用者への謝罪や再発防止策の検証などを求める抗議文を区に提出。メンバーの稲葉剛さん=つくろい東京ファンド代表理事=は「やっとの思いで助けを求めてきた人の手を一度握って振り払った。その絶望感を考えてください」と求めた。
 区福祉部の関原陽子部長は「住居に困っている人がホテル延長できることを伝えず、案内は不十分だった」と釈明。連絡先を把握している五十四人に同日から、状況確認の電話を始めたと説明した。区は五月二十九日、ホテル利用者のうち、生活保護などの公的支援につながっていない九十八人に退出を促す文書を配布。区側は取材に「本当に困っている人は退出後に相談に来ると考えた」と理由を説明した。

男性の部屋に配られたホテル利用の期限を知らせる文書


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