タイなど4カ国の出入国緩和を検討 政府が今月中にも 専門家は第2波を懸念

2020年6月10日 07時03分
 政府は新型コロナウイルス水際対策の出入国制限に関し、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドの四カ国を今月中に緩和する方向で調整を始めた。複数の政府関係者が明らかにした。ビジネス目的の人が対象で、海外との往来再開により景気回復を急ぐ。感染症の専門家は流行の第二波を懸念している。 (川田篤志)

 茂木敏充外相は一日にベトナム、四日にニュージーランド、五日にオーストラリアの外相とそれぞれ電話で緩和に向けて協議した。タイとも近く協議する。
 四カ国は感染が比較的抑えられ、現地に日系企業が多数進出して経済的なつながりが深い。中国への依存度が高い製造業などのサプライチェーンがコロナ渦で寸断されたことを受け、タイやベトナムへの工場移転を加速させる狙いもある。
 緩和後も入国の際はPCR検査の陰性証明書と日本での行動計画書の提出を求める。日本到着時にも空港でPCR検査を再度行うなど厳しい防疫措置を課す。感染の状況を見ながら、留学生や観光客など段階的に対象を広げたい考え。
 首相周辺は「内閣支持率が低迷する中、出入国制限の緩和で現状を打開したい」と話す。経済的に関係が深い米国や中国、韓国の制限緩和も模索する。
 ただ、実現に向けたハードルは高い。米国は世界で最も感染者数が多く、韓国も流行の第二波で感染が収束していない。米中対立が激化する中で対中緩和に踏み切れば、国内外の反発を招く恐れもある。政府内には台湾に加え、福建省など一部地域から段階的に緩和する案も浮上している。
 一方、政府の専門家会議は五月末の提言で、海外の往来再開が再流行の「きっかけとなる可能性がある」と指摘。欧州などから帰国した感染者が国内の流行の原因になったと分析し、政府に慎重な対応を求める。政府は二月から水際対策を順次強化しており、日本への原則入国拒否の対象は現在、百十一カ国・地域に及ぶ。

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