給付金の不透明な業務委託 安倍首相説明尽くさず

2020年6月11日 06時40分
 二〇二〇年度第二次補正予算案は十日、衆院を通過した。二日間の衆院予算委員会で焦点になったのは、新型コロナウイルス感染拡大で売り上げが減った中小企業などに対する持続化給付金の業務委託の不透明さや、過去最大の予備費十兆円の使い道など。安倍晋三首相は説明を尽くす姿勢を示さず、疑問は参院での議論に持ち越された。 (横山大輔、上野実輝彦)

■丸投げ 

 「残念ながら支援が届いていないという現状もあるのだろうと思う」。首相は十日の予算委で、持続化給付金の給付遅れを指摘され、そう答えた。首相の言葉からは危機感が伝わってこない。
 持続化給付金事業は一般社団法人サービスデザイン推進協議会が委託を受け、電通にほぼ全て再委託した。野党は「丸投げ、中抜き疑惑がある」(立憲民主党の枝野幸男代表)と追及。自民党議員も「国民に誤解を与えるようなことがあれば信頼性が崩れる」(坂本哲志氏)と執行体制や再委託の経緯の説明を求めた。
 それでも首相は「この団体自体について詳しく存じ上げない」などと答えを避け、梶山弘志経産相に答弁を回す姿が目立った。

■批判に反発 

 予備費の使い道も疑問が残ったままだ。首相は「感染症によって起こり得るさまざまなことに対応する」と説明。さまざまとは何かを重ねて尋ねられても「予見し難い」と事業の例示すらしなかった。
 立民の大串博志氏が「(使い道を)追及されるのが嫌で、国会を開かないため十兆円を積んだのでは」と迫ると、首相は「全く的外れな批判だ」と反発した。
 首相は、これまでも国会で説明しているとした上で、今後も「求められれば説明責任を果たす」とした。それでいて十七日までの国会会期延長は「国会で決めることだ」と事実上拒否。臨時国会開催も明言しなかった。
 十日の委員会後、共産党の志位和夫委員長は記者団に、コロナ対策に加え、黒川弘務・前東京高検検事長の定年延長問題、沖縄県名護市辺野古(へのこ)での米軍新基地建設などを挙げ「国会を閉めている時ではない」と訴えた。

■チェック不能

 感染症対策の決定過程を巡っても、説明責任を果たそうとはしなかった。
 首相は政府専門家会議の議事内容の公表に関し「議事録はないが速記録はあり、保存期間満了後は原則公開になる。何かを隠していることはない」と語った。だが「原則公開」は、保存期間の十年後。政府対応の検証や第二波への備えに役立てるには遅すぎる。
 今後は会議の「議事概要」に発言者名を明記するものの、過去の議事概要の発言者は明らかにせず、詳しい発言内容が記録される議事録も作成しない。国民民主党の後藤祐一氏は議事概要では「どこが抜け落ちたかチェックできない」と指摘。野党は、引き続き議事録作成を求めていく。

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