性犯罪者にGPS装着の義務化を検討 政府方針案に

2020年6月11日 06時43分
 性犯罪と性暴力の対策を強化する初の政府方針案の全容が10日判明した。仮釈放中の人に衛星利用測位システム(GPS)端末の装着を義務化することの検討や、被害予防に向けた幼少期からの教育や啓発が柱。根絶を求める被害者らの声の高まりを受け、政府が関係府省横断で策定した。2022年度までの3年間で集中的に取り組む。性犯罪を巡るGPS導入には人権侵害との批判もあり、現時点で実現は見通せない。
 政府は11日の関係府省会議で決定し、7月にまとめる予定の経済財政運営の指針「骨太方針」に反映させる考え。一方で被害者の悲願である刑法の「暴行・脅迫」要件の廃止を含めた改正議論は「検討を進める」にとどめた。
 方針案は「性犯罪、性暴力は被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為」と強調。加害者の多くは顔見知りとの調査結果もあるとし、特に子どもは親族や教員、コーチなど身近な人から被害を受けることも多いと分析した。「同じ加害者により類似の犯罪や暴力が繰り返される例が少なくない」と指摘した。
 具体策としては海外の制度や技術を参考に、仮釈放中の人へのGPS端末装着の義務付けを、2年程度をめどに検討。わいせつ行為をした教員は原則、懲戒免職を徹底するよう各教育委員会に指導する。
 過去のわいせつ行為で教員免許が失効しても現在は3年後に再取得が可能となっているが、厳格化を検討。保育士にも同様に対応する。
 幼少期から自分の身を守る重要性を理解させるため、専用教材を作成し年齢に応じた被害予防教育を行う。
 例えば、水着で隠れる部分は「プライベートゾーン」として他人に触らせないことや、会員制交流サイト(SNS)を通じた被害の危険性を教える。中学生や高校生には「デートDV」を教材に親密な間柄でも嫌なことは嫌と言う大切さを指導する。
 教職員に研修を行い21〜22年度に学校現場に取り入れる。
 政府は4月、橋本聖子男女共同参画担当相が議長を務め、法務省や文部科学省など関係府省の局長級が参加する会議を設置、対策の強化を検討してきた。

 性犯罪対策
 2017年の刑法改正で性犯罪を厳罰化した。ただ依然として立件が難しいとの指摘があり、見直しの必要性を議論する法務省の検討会が今月始まった。ここ数年、社会的な関心が高まり、被害者自ら実態を訴える例も増えている。セクハラや性的暴行被害を訴える「#MeToo」運動が注目されたほか、性犯罪を巡る無罪判決が相次いだことを機に始まったフラワーデモは全都道府県に広がった。

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