<新型コロナ>歓迎 旅館テレワーク 秩父の自然強み、利用客獲得へ

2020年6月11日 07時15分

テレワーク用に文机が設置された「養浩亭」の一室=長瀞町で

 新型コロナウイルスの感染拡大への警戒が続く中、秩父地域の旅館が、外出自粛で進む「テレワーク」の利用客の獲得に力を入れている。多くの宿泊施設が大型連休中に休業を強いられるなど、厳しい経営状況に陥った。都会にはない静けさと豊かな自然環境を強みとして新たなビジネス需要を掘り起こしたい考えだ。(出来田敬司)
 小鹿野町の目抜き通りにある老舗宿「須崎旅館」は、五月からビジネス利用を見込んだ「おこもりプラン」を始めた。室内に文机と無線LANを設置し、パソコン利用に対応。自室での朝夕食、貸し切りでの露天風呂利用と、できる限り接触を避けた対応を取る。
 おかみの須崎真紀子さん(44)によると、プランの利用は今月に入ってから約十件。男性の一人客が多く、さいたまや川口、本庄市など県内在住者がほとんどという。チェックアウトを遅らせるなどして室内での仕事に集中する人が多い。「お客さまの気分転換に役立てれば」と須崎さん。
 長瀞町の旅館「養浩(ようこう)亭」では五月以降、通常のプランながら連泊する一人客が目立った。新井紀弘社長によると、県をまたぐ外出自粛の要請が続いているためか、こちらもほぼ八割が県内から。自室だけでなく、川のせせらぎが聞こえるバーベキュー場にパソコンを持ち出し、仕事に励む人の姿もあるという。
 多くの観光スポットを抱える秩父の宿泊業は、緊急事態宣言の発令による外出自粛の影響を強く受けた。四、五月を中心に、須崎旅館、養浩亭を含めた多くの旅館やホテルが長期休業。売上高が前年同期比で九割減という宿泊施設が相次いだ。四百五十年続いたとされる老舗旅館「千鹿谷(ちがや)鉱泉旅館」(秩父市)も、廃業に追い込まれた。
 新井社長は「小中学校の修学旅行や大学生の合宿が延期やキャンセルとなり、今後も厳しい状況が続く。テレワークのお客さまに、少しでも来ていただければ」とアピールしている。

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