発言で振り返る小池百合子都政の4年間 五輪予算に「2兆、3兆、お豆腐屋さんじゃない」

2020年6月11日 07時19分

宮城県の村井嘉浩知事(左)の案内で長沼ボート場を視察する小池百合子氏(中)=2016年10月、宮城県登米市で

 「最近では一兆、二兆、三兆と。お豆腐屋さんじゃないんです」。二〇一六年七月二十三日、東京・銀座で都知事選の街頭演説に立った小池百合子氏が声を張り上げると、聴衆から拍手が湧いた。小池氏は、膨れ上がる東京五輪・パラリンピックの開催費用を批判。二位候補に百万票以上の差をつけた勢いそのままに、就任後、調査チームを立ち上げた。
【関連記事】小池都政 コロナ後の首都像を示せ
【関連記事】都知事選での「敗北」避けた与野党 双方が独自候補見送る異例の展開
【関連記事】小池知事4年前公約「7つのゼロ」 大半がいまだ実現せず

 象徴となったのが、ボート・カヌー競技会場を東日本大震災の被災地、宮城・長沼ボート場に移す変更案だった。同年十月、小池氏は宮城の村井嘉浩知事とともにモーターボートで現地を視察。熱烈な歓迎を受け、報道陣に「復興五輪というメッセージはパワフルだ」と言い切ってみせた。
 ただ、その後は決定権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)との協議が難航。次第に主導権を握られ、構想は断念に追い込まれた。「大山鳴動してネズミ一匹ではないか」。記者会見でそんな言葉を投げ掛けられ、「ちょっとそれは失礼なのではないですか」と語気を強める一幕もあった。
 小池氏が仕掛けた議論の結果、高騰していた費用の削減が一定程度進んだのは事実だった。ボート・カヌー会場の整備費は四百九十一億円から三百八億円に圧縮され、ほかの施設でもコストダウンが進んだ。
 「あっちだ、こっちだと言って時間を浪費したと思っていない。むしろここにたどり着くことで都民の一体感が生まれたのではないか」。その年の十二月、小池氏は成果を強調した。
 とはいえ、当初目指していた姿と言えるのか。「受けのいい言葉で、現場を必要以上に混乱させただけ」「知事の突破力がなければ、費用は抑制できなかった」。周囲の評価は、今もさまざまだ。
 東京大会の開催経費は現時点で一兆三千五百億円。小池氏が批判した「二兆」「三兆」の出費は回避されたものの、大会招致の際に都が示した試算「七千三百四十億円」の二倍近い。熱中症対策として会場周辺に設けるミストシャワーなど開催経費に含めない関連費は、都負担分だけで八千億円以上に上る。
 大会は新型コロナウイルスの影響で来年七月に一年延期され、三千億〜六千億円といわれる追加費用の分担や、大会の簡素化・合理化の議論は始まったばかりだ。なにより感染の終息が見通せぬ中、開催自体ができるのかなど不安は尽きない。都幹部はつぶやく。「これから先、待っているのは、いばらの道だ」
 東京大会の会場変更案 ボート・カヌーの「海の森水上競技場」、バレーボールの「有明アリーナ」、水泳の「アクアティクスセンター」の3会場について新設を中止し、宮城や神奈川県などに変更する見直し案。2016年12月、最終的に当初計画地で新設することで決着した。一方で規模の見直しなどにより、3会場の整備費は約340億円削減された。

PR情報

社会の新着

記事一覧