カジノ誘致の文書「真っ黒」でも小池都知事が説く「情報公開は1丁目1番地」

2020年6月12日 07時26分

本紙の情報公開請求で開示された黒塗りの文書。ほぼすべて黒塗りで「のり弁」といわれる状態だった

 「重要政策の意思決定を『いつ誰が何を、どこでどのように決めたのか』を明確にする。情報公開を通じ、都政への信頼回復につなげていきたい」
 小池百合子氏の圧勝で終わった二〇一六年七月三十一日の都知事選から二日後の都庁五階大会議場。初登庁した小池氏は、居並ぶ職員六百人を前に、こう力強く訓示した。
 小池氏は選挙戦で第一の公約に「都政の透明化」を掲げた。直近二代の知事が不祥事で辞職したことを踏まえ、積極的な情報公開によって都民の失った信頼を取り戻そうとした。
 しかし、公約はすぐに暗雲が垂れこめる。就任直後から注目を集めた築地から豊洲への市場移転問題で、土壌の安全性への懸念から小池氏が移転延期を表明。一七年六月には双方に市場機能を残すとの基本方針を打ち出した。
 結局、同年末には一年後の豊洲移転が決定するが、小池氏を象徴したのが同年八月十日の定例会見だ。
 基本方針について記者が「財源や運営費を検討した記録が都に残っていない。最終判断が知事と顧問団の『密室』で下され、情報公開の方針に逆行する」と指摘。これに対し、小池氏は「情報、文書が不存在であると。それはAI(人工知能)だからです」と述べ、報道陣を戸惑わせた。
 「最後の決めは人工知能、つまり政策決定者である私が決めたということ。文章としては残していない」。公約に矛盾しかねない説明。「政策決定のプロセスが不透明」との指摘が相次いだ。
 最近でも情報公開の不十分さが指摘されている事業の一つに、検討中のカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致がある。
 小池氏自身はカジノの是非を明言していない。直近では今年三月九日の都議会予算特別委員会で「日本の経済成長を高める期待の一方、ギャンブル依存症の懸念もある。引き続きメリット、デメリットの両面について総合的に検討する」と述べるにとどめた。
 本紙が、都が国に回答したIRについての意向調査結果(一八年十月二十四日付文書)を情報公開請求したところ、ほぼすべて黒塗りという「のり弁」状態で開示された。都によるIRの分析内容も真っ黒で、都の意向や政策決定の経緯はとても読み取れない。小池氏は衆院議員時代、カジノ解禁法案の成立を目指す超党派議連に参加していたこともあり、「都知事選が終わるまで方向性は出さないつもりだろう」(都幹部)とみる向きもある。
 小池都政一期目の最後となった六月の都議会定例会。三日の一般質問で、改めて議員から情報公開の姿勢をただす声が上がったが、小池氏は以前からのフレーズをこう口にした。
 「情報公開は『東京大改革の一丁目一番地』という認識のもとで行ってきた。都政の透明化を推し進めている」 (小倉貞俊)
<東京都の情報公開の取り組み> 都民の利便性向上のため、2017年7月に改正情報公開条例を施行し、公文書の閲覧手数料を廃止したほか、写しのコピー代を20円から10円に引き下げた。19年7月には情報通信技術(ICT)を活用し、都民が請求手続きによらず公文書等を無料で即座に入手できる公文書情報公開システムを開始。また各種審議会の議事録などの公開対象を拡大している。

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