「持ちつ持たれつ」経産省と電通 入札で敗れたキャッシュレス事業も9割再委託

2020年6月12日 07時47分
 持続化給付金事業の委託の不透明さが指摘される一般社団法人サービスデザイン推進協議会が入札に負けた経済産業省の事業で、落札した別の一般社団法人が広告大手の電通にほぼ丸ごと再委託していた。元請けに隠れ電通が経産省の事業の核となる構図で、給付金と同じだ。広告不振で霞が関の仕事を増やしたい電通が、経産省の別働隊としての役割を果たす姿からは両者の蜜月ぶりが浮かぶ。 (皆川剛、大島宏一郎)

◆事業の核

 「電通は広告会社ではない。(問題を解決する)ソリューション提供企業だ」
 電通副社長の榑谷(くれたに)典洋氏は八日の会見で強調した。
 電通が再委託を受けている事業は、今月末で終了するキャッシュレス決済のポイント還元事業。登録店舗でクレジットカードなどで買い物をすると、税込み価格の最大5%が還元される。二〇一八年設立の一般社団法人キャッシュレス推進協議会が落札し、一九、二〇年度に計三百三十九億円で事務を受託している。
 事業の統括を担うはずのキャッシュレス推進協議会は、運営統括の名目で、電通に委託費の90%にあたる三百七億円で再委託。コールセンターや審査業務は電通から電通ライブを経由して、パソナやトランスコスモスに外注。ここでも給付金と同じ面々が登場する。
 給付金事業で透明性が問題となっている法人もポイント還元事業に応札したが落札はできなかった。とはいえ、電通にとっては元請けが違うだけで、事業の核として外注を重ねる点では変わりはない。

◆別働隊

 経産省にとって電通は別働隊として、使い勝手がいい存在になりつつある。経産省元官僚の政策コンサルタント、古賀茂明氏は行政改革で公務員の数が減ったとして「官が民に外注するケースは多く、広報を担う電通とは持ちつ持たれつの関係になりやすい」と指摘。再委託という形では表に出てこないので、批判も受けにくい。
 東京都中央区のビルには、給付金事業を受託した法人のほかに、経産省が電通に委託したさまざまな事業の事務局が入居。案内板には「中心市街地再生事業」「商店街インバウンド促進支援事業」などの名前が並ぶ。ビルを訪れた野党議員は「(このビルは)事実上の『電通公共政策部』だ。経産省と電通の仲の深さを示している」と批判した。

◆急上昇

 電通にとっても政府は収益の柱を担う「お得意様」となりつつある。新型コロナウイルスの感染拡大による経済ショックが襲った二〇年一〜三月期の売上高を業種別に見ると、「官公庁・団体」の伸び率は前年同期比70%増と全業種の中で最も高い。業種別の売上高では、全十五業種のうち十位から五位に躍り出た。
 だが、双方にとってどんなに得でも、電通が隠れた状態で国の事業の再委託を受けることで納税者にはマイナスになりかねない。会計検査院OBで日本大の有川博客員教授は「国の事業で委託・外注が重ねられると、全体像が把握しにくいので利益の『中抜き』があっても分かりにくい」と指摘。「税金を使う立場である経産省は国民への説明責任を果たすべきだ」と強調する。
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