視力1.0未満の小学生3割超 早期の近視 病気招く恐れ

2020年6月12日 08時32分

 子どもの視力低下が問題になっている。新型コロナウイルスの影響で休校が続いた3カ月間、自宅で長時間にわたり、スマートフォンやゲーム機を見ていた子どもも多いだろう。早くから近視が進むと、将来的に強度の近視や失明の危険がある病気になるリスクも高まる。近視の仕組みと、進行を抑える生活習慣や眼鏡をかけ始める時期について聞いた。 (長田真由美)
 二〇一九年度の文部科学省の学校保健統計調査によると、裸眼視力が一・〇未満の小学生は34・57%。調査を開始した四十年前の二倍だ。〇・三未満も9・38%と全体の一割を占める。
 「近視は治らない。しかし、進行を防ぐためにできることはある」。親子連れが相談に来ると、愛知県眼科医会の理事で、まじま眼科(名古屋市名東区)院長の杉野太郎さん(51)は、そう説明する。
 本来、目の中に入った光は角膜、水晶体で屈折し、網膜で像を結ぶ。一方で遠くを見た時に、網膜の手前でピントが合い、ぼやけるのが近視だ。近視になるかどうかは、角膜、水晶体の屈折力、角膜の頂点から網膜までの奥行き(眼軸長(がんじくちょう))の関係で決まる。
 子どもの近視の多くは、眼軸長が伸び過ぎることが原因だ。眼球は体の成長に伴い大きくなるため、眼軸長は一般的に十三歳ごろまで伸びる。日本人の眼軸長の平均は成人で二十四ミリ。しかし、これを上回るほど伸びると、屈折力とのバランスが崩れ、網膜の手前でピントが合うようになる。
 これまでの研究で、近くを見る機会が多いほど近視の進行が速いことは明らかだ。子どもの近視の増加はスマホやゲーム機などを凝視する時間が増えた影響とも考えられ、それと眼軸長の過剰な伸びとの間には何らかの関連があるとみて研究が進められている。
 杉野さんによると、いったん伸びた眼軸長は短くできない。その結果、網膜や視神経が引き伸ばされて傷つき、網膜剥離や緑内障など失明に結びつく病気の危険も出てくる。伸びを抑えるには「物を見る時に『近すぎない、長すぎない』の二つを心掛けて」と杉野さん。スマホやゲーム、勉強や読書をする時は十五分に二〜三分は目を休めることが大事。テレビならCMが入るタイミングが目安だ。目を閉じるだけでは、近くを見る時に収縮して水晶体を厚くする毛様体筋の緊張が続くことも。近視がない子どもなら五、六メートル先、近視の子はもう少し手前を見て緊張を緩めるといい。
 近くで見る作業を長時間続けると、毛様体筋が過度に緊張し、一時的に遠くのものがぼやけて見える「仮性近視」の状態になる場合がある。長く放置すると、近視になる可能性があるため、早めに診察を受け、毛様体筋の緊張をほぐす点眼薬を差すなどしたい。
 杉野さんは「学校で黒板に書かれた字が見えづらくなったら、眼鏡をかけるタイミング」と勧める。黒板が見えないと、勉強をする意欲が失われるなど精神面への影響も心配だ。以前は「眼鏡をかけると視力が落ちる」と言われたこともあったが、今では関係がないことが分かっている。
 近視が強くなってから、いきなり度の強い眼鏡をかけるとクラクラして気持ちが悪い。そんな時は段階的に度を強くしていくことになるが、見づらいことには変わりがなくストレスがかかるため、眼鏡自体を嫌がるようになる恐れも。「視力がそれほど悪くないうちからかけた方が抵抗感がない」と呼び掛ける。

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