コロナ補正、わずか5日でスピード成立 批判相次ぎ検証が不可欠

2020年6月13日 07時06分
 二〇二〇年度の第二次補正予算は、国会提出からわずか五日でスピード成立した。困窮者を助けるための迅速な審議は、甘い制度設計と背中合わせの懸念をはらむ。特に一次補正で始まった持続化給付金は事務委託の再委託や外注を繰り返す手法に批判が噴出。国会は十七日に閉会の予定だが、予算の執行が問題視されているだけに、継続的なチェックが必要との指摘も出ている。 (渥美龍太)

▼不信

 「申請してからそれっきり。なぜ振り込まれないのかが分からない」。居酒屋「樽(たる)八」(東京)を経営する遠藤浩さん(60)は、五月中旬に持続化給付金を電子申請した後に返信がなく、不安が募る。経営は緊急事態宣言の解除後も売り上げが戻らず、六月は前年比で六割減。資金繰りは緊急融資が七月にずれ込み、自分の給料も出ないような状況だ。事務委託を巡る騒ぎには「何をしているのだろう」と不信感をにじませた。
 持続化給付金は初日の申請者のうち五千件以上が今も振り込まれないなど、国会審議を通じて次々と問題が明らかになった。事務の受託団体が電通にほぼ丸ごと再委託し、その後のお金の流れが見えないなど予算の執行への批判が強い。
 明治大の田中秀明教授(財政学)は「日本の予算は執行段階のチェックが甘いことが非常に大きな問題。特に精査のための時間がほとんどない補正予算には顕著だ」と解説する。

▼改善

 持続化給付金以外も、コロナ対策は執行の遅れや不備が相次いだが、国会の議論を通じて問題が周知され、一定の改善もしている。
 雇用を維持する企業への助成金は、手続きが煩雑との批判を受けて書類を減らし、中小企業向け特例も拡充した。社員ら七人を抱える藤寿司(東京)の藤田幸生社長(42)は「助成金の書類の束と膨大な記入欄を見たときは厳しいと思ったが、大幅に減ってからは自分でもできそうだと考えた」と話し、書類と格闘中だ。
 二次補正に盛り込まれた家賃支援も、与野党の議論を経て方向性が決まった。深刻な問題だっただけに「遅すぎる」(中小企業団体幹部)との批判も多いが、前進をしたのも事実。そのコロナ対策を巡る議論が続いた国会は、十七日に閉会する予定だ。

▼監視

 ただ、異例の十兆円の予備費は政府裁量の余地が大きいため、野党側は「財政民主主義の否定だ」と追及し、大幅な会期の延長を求めている。
 実際に予算執行を巡る問題は広がり続け、解決のめどが立っていない。持続化給付金の事務受託法人などは今後、経済産業省から異例の中間検査を受ける。このほか「Go To キャンペーン」は、事業費の二割近い最大三千億円の委託費の巨額さに批判が集まり、委託先選びをやり直す事態に陥っている。
 法政大の小黒一正教授(財政学)は今後の予算チェックについて「予備費は使途の詳細などの国会報告義務を強化し、民間委託の問題は与野党が合同で契約の透明性を監視する体制をつくるべきだ」と提案。その上で「会計検査院の検査機能強化など、長年の課題も前に進める必要がある」と話している。 

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