めんどくさい本屋 100年先まで続ける道 竹田信弥(しんや)著  

2020年6月14日 07時00分

◆生き残りをかけた挑戦


[評]木村晃(サンブックス浜田山店長)

 百年先のことを考えて生きている人はなかなかいないだろう、著者の東京・赤坂にある選書専門書店「双子のライオン堂」店主竹田氏は、そんななかなかいない人の一人だ。本書は「双子のライオン堂」が百年先まで生き残るために挑戦していく記録であり決意でもある。
 本屋といってもオールジャンルを扱う町の本屋や大型チェーン店があり、最近では独自の選書のみを扱う個人店も増えている。「双子のライオン堂」が後者であるのは間違いない。二十畳ほどの広さの店内には、竹田氏の選書のみならず、作家、評論家、研究者など、多種多様な方々に依頼し選書してもらった本が並ぶ。
 また年間で読書会を六十回以上、他のイベントも百回は開催し、さらには本の出版も手がけて、すでに十冊以上世に送り出している。この多忙な書店業のなか、経済的な補完をするためにアルバイトもやっているというのだからその行動力には驚きしかない。
 どうしてこんなにも頑張ることができるのだろうか。それは竹田氏にとってすべてが「双子のライオン堂」を生き残らせる手段であるからだ。巻頭にある双子のライオン堂宣言には「まだまだ、どうしたら100年も生き残れるか分からない。でも、生き残ることを目標にして、がむしゃらに努力していく。それが今のぼくにとっての生きがいだ」との言葉がある。けっして容易ではない道のりを歩み続ける決意が伝わる。
 開業前から支え続けている三人のメンバーとのやりとりも興味深い、このメンバーがいたからこそ今があるのだろう。人とのつながりの大切さを感じさせてくれる。「双子のライオン堂」は、お客さん、支えてくれる人、これから関わってくれるであろうすべての人を含めてこそなのだ。この先「双子のライオン堂」がどうなっていくのか楽しみでしょうがない。
 学生時代の挫折、本との出会い、開業、現在に至るまでの経緯と、竹田氏の人生を凝縮させた本書には、きっと生き方の選択肢を広げてくれる言葉があるはずだ。
(本の種出版 ・ 1870円)
1986年生まれ。書店「双子のライオン堂」店主。読書推進活動にも関わる。

◆もう1冊

田中佳祐著・竹田信弥構成『街灯りとしての本屋』(雷鳥社)

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