「4日を待たずに」はなぜ削られたのか <新型コロナ検証>

2020年6月14日 07時09分

新型コロナウイルス感染症の受診目安などを話し合った専門家会議初会合=2月16日、東京・永田町の首相官邸で

 新型コロナウイルスへの対応で厚生労働省が二月に公表した相談・受診の目安は、原案にあった「(重い症状は)四日を待たずに相談すべき」との文言が作成過程で削除された。目安は「三七・五度以上の発熱が四日以上続く方」などとなり、「必要な検査や診察を受けにくい」と問題視された。厚労省は取材に、重い症状でも四日以上待たなければならないという「誤解」を招いたと認める。 (新型コロナウイルス取材班)
 原案は二月十六日、専門家会議の初会合で示された。「(保健所の)相談センターに相談すべき」ケースとして「風邪の症状が三〜四日以上続く場合」のほか、「強いだるさや○度以上の発熱、息苦しさがある場合は四日を待たずに相談すべき」としていた。具体的な体温は記されていない。
 ところが、翌十七日に公表された目安では「四日を待たずに」が削られ、「風邪の症状や三七・五度以上の発熱が四日以上続く方」などとなった。「相談すべき」の表現は「相談する」にあらためられた。
 目安の公表後、患者が相談を控えたり、医師が検査を求めても保健所が断ったりするケースが発覚。夫の感染が疑われた東京都世田谷区の女性は「息苦しさなどがあったが四日待ってから電話した」と証言する。
 厚労省は、状況に応じて目安を柔軟に判断するよう自治体に通知した。それでも、検査能力や病床が限られる中、目安を事実上の基準として運用する保健所もあった。
 問題視する声が出たため、目安は五月に改正され、「四日以上」の部分を削除。症状が強い場合は「すぐに相談」となり、原案に近い表現に戻った。
 厚労省が目安を定めた背景には、二〇〇九年の新型インフルエンザで医療機関に患者が殺到した反省がある。二月の初会合後の記者会見で、国立感染症研究所所長の脇田隆字(たかじ)座長も「軽症の患者が検査に殺到することは避ける必要がある」と話していた。
 「四日を待たずに」の文言削除について、厚労省の加藤拓馬・新型インフルエンザ対策推進室長は「受診抑制のためでなく、わざわざ書く必要はないという観点からだった」。脇田座長は「会議では肺炎が疑われるようなら早く受診してもらう方がいいと言っていた。それがうまく伝わらなかったのであれば、表現ぶりが悪かった」と言う。

◆納得できる説明を

<厚労省や総務省などで専門委員を務めるリスクコンサルタントの西沢真理子氏の話> 緊急時は情報の受け手がパニックになりがちで、曖昧な表現は駄目。だるさや息苦しさがある方の目安には「すぐに」と文言を入れて、はっきりとした表現にするべきだった。国民に信頼を得るためには情報の透明性が不可欠。国民が納得する説明をできるかどうかが重要だ。

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