地上イージス計画停止 候補地に驚き 山口「住民の声届いた」

2020年6月16日 06時57分
 地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の計画停止が発表されたことを受け、配備候補地の山口、秋田両県では十五日、突然の表明に県幹部らは驚きや戸惑いの声を上げた。配備に反対してきた住民らは歓迎の一方で、「安全だという防衛省の説明はうそだったのか」と不信感を高めた。 
 山口県の村岡嗣政知事は十五日、同県の陸上自衛隊むつみ演習場(萩市、阿武町、写真)が候補地の一つだったイージス・アショア配備計画のプロセス停止に関し「突然で驚いた。防衛省からの詳細な説明を聞きたい」と県庁で記者団に述べた。配備に反対してきた阿武町の花田憲彦町長は「賢明な判断」と評価した。
 村岡知事は住民の安全や安心の確保を求めてきたとして「そうした観点から越えられないハードルが出てきたなら、防衛省の判断は適当だ」とも話した。十五日午後五時十五分ごろから五分間程度、河野太郎防衛相と電話で話し、停止の説明と謝罪を受けたという。
 萩市の藤道健二市長は「住民説明会の開催など、かなり時間とエネルギーをかけてきたが、ここでの停止で非常に驚いている」と語った。阿武町の花田町長は「停止と聞き安心した。配備反対という町民の声を国は受け止めた」と取材に語った。住民団体の吉岡勝会長(67)は「思いが伝わってうれしい。配備ありきで進めてきたから問題が出てきた。安全に配備できるとの一点張りだったが、停止の理由をしっかりと説明してほしい」と話した。
 演習場の近くに住む同町の農業中野克美さん(64)は「配備の危険性を住民は何度も指摘し、防衛省は安全と説明していたのはうそだったのか。停止はうれしいが、不信感は一層高まった」と訴えた。

◆秋田知事「賢明な判断」

JR秋田駅前に置かれた号外を読む通行人=15日夜

 配備候補地の一つ、秋田県の佐竹敬久(のりひさ)知事は十五日夜、「賢明な判断だ」とするコメントを発表した。配備反対を訴えてきた団体からは「大きな成果だ」と歓迎の声が相次いだ。
 配備候補地となった陸上自衛隊新屋(あらや)演習場を抱える秋田市の穂積志(ほづみもとむ)市長は「防衛省の姿勢は全く無責任で、地元に早急に説明すべきだ。閣議決定からの二年半、地元は振り回されてきた」とコメントした。
 佐竹氏は、河野氏から午後五時すぎに電話連絡があったと明らかにした上で、理由に挙がった「ハードウエア改修」に触れ「改修に成功しても、ミサイルの技術的進歩を勘案すれば、そもそも能力的な問題が生じる」と訴え、停止判断を評価した。
 「ミサイル基地イージス・アショアを考える秋田県民の会」の風間幸蔵事務局長(87)=秋田市=は「うれしい。国民運動が大きくなれば一度決めたことでも変えられることを目の当たりにしている」と話した。風間さんはこの日午後も県庁前でのぼりを持ち、配備停止に向けた街頭活動をしていた。
 県民の署名活動を先導してきた桜田憂子さん(57)=同=は「停止の意味を見極める必要性があるが、地域住民を思うと涙が出そうなほどうれしい」と歓迎。「コロナ禍にある中で、イージスに財源を使っている場合ではない」と強調した。
 防衛省は七月十日を期限に青森、秋田、山形三県計二十カ所の国有地を再調査していた。
 山形県の吉村美栄子知事は取材に「全く情報がない」と述べた。

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