運動再開、けが注意 外出自粛や休校明けの子ども 徐々に強度上げ体慣らす

2020年6月16日 07時19分
 新型コロナウイルスに伴う外出自粛や休校・休園の影響で、子どもたちの運動不足が懸念されている。各地で学校は再開されたものの、体力が低下した状態で急激に体を動かすと骨折などけがの原因になりかねない。本格的な夏の到来を前に熱中症も心配だ。専門家は、少しずつ運動の強さを上げ、体を慣らすことが大切と指摘する。 (細川暁子)

 ダッシュやジャンプなどの際に筋肉が強く収縮して起きる骨盤の剥離骨折や、腰の疲労骨折の一種、腰椎分離症…。「六月に入って学校が再開されて以降、運動でけがをした子どもの受診が相次いでいる」。そう話すのは小野整形外科(愛知県半田市)院長で、「0歳からの足育のすすめ」(論創社)などの共著がある小野直洋さん(52)だ。
 小野さんによると、近年は跳び箱に手をついただけで骨にひびが入ったり、押し入れから飛び降りて足の骨を折ったりする子どもが増えているという。原因の一つは昔に比べて外で体を動かす機会が減ったこと。運動は骨に負荷をかけて成長を促すが、そうした機会が少なく、骨が十分に育っていないと考えられる。
 学校活動による事故の災害共済給付をする日本スポーツ振興センター(東京)によると、小中高校と幼稚園・保育園などで発生したけがや疾病への医療費給付は二〇一八年度、約九十九万一千件。少子化に伴い、〇〇年代のピークだった〇三年度の約百二十二万件からは減っているが、骨折の割合は21・4%から一八年度は25・5%に増えた。原因となった運動は、小学校は跳び箱が約一万六千件で最多。中高はいずれもバスケットボールで、件数は合わせて約十一万件だった。
 骨のもろさとともに、小野さんは子どもの足を心配する。〇四年から毎年、地元の幼稚園児約三百人の足形を測定しているが、土踏まずが十分に育っていない子は当初の一割未満から、昨年は四割近くまで増えた。着地の衝撃を吸収する土踏まずがないとバランスを崩しやすく、けがのもとだ。さらに体力低下の一因には「腰や足の筋肉を鍛えるハイハイをほとんどせずに、いきなり立つ子が増えたこともある」。マンションなど居住空間が狭くなり、赤ちゃんが周囲の物につかまりやすいためという。
 三カ月間にわたる休校や外出自粛は運動不足に拍車をかけた。急に激しい運動をするのは危険だ。元五輪スポーツドクターで、東京大名誉教授の武藤芳照さん(69)は「運動を一カ月休むと体力の回復には三カ月かかるといわれる」と指摘。「時間をかけて運動強度を上げ、体を慣らすことが重要」と強調する。「けがが多い跳び箱やバスケなどは来月や二学期に回してはどうか」と小野さん。まずはちょっとした体操や家の手伝いで体の土台となる足を鍛えるよう勧める。簡単なのは遊び感覚でできる「足指じゃんけん」だ。足の指を「グー」「チョキ」「パー」と広げたり縮めたりすれば足裏の筋肉トレーニングになる。足腰を強くするにはぞうきんがけもいい。

 体の状態が万全とはいえない中、熱中症にも気を付けたい。日本スポーツ振興センターのデータでは、猛暑だった一八年度、小中高校と幼稚園・保育園などの熱中症は七千百十三件にも。五月発表の三カ月予報によると、今後の気温は全国的に平年並みか高い。元シンクロ世界選手権日本代表で、スポーツ科学が専門の桜美林大准教授の田中千晶さん(48)は「特に小さい子は体温調節機能が未熟。背が低いため熱せられた地面との距離も近い」と言い、「本人が『のどが渇いた』と言う前に、こまめに水分補給を」と注意を促す。

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