<新型コロナ>医療現場へ拍手、感謝の強制? さいたま市の全市立校参加 市民らから疑問の声

2020年6月16日 07時25分

医療従事者に30秒の拍手を送る生徒たち=さいたま市立岸中学校で

 さいたま市で十五日、市立学校全校の子どもたちが拍手で医療従事者への感謝を示した。医療従事者への拍手は各地で行われており、今回の試みを歓迎する意見もあるが、市教育委員会が各校に指示して子どもたちにやらせる形だったことから、市民らから「感謝の強制では」と疑問の声も上がった。(前田朋子)
 拍手は同日午前十時、全市立学校百六十八校で児童生徒約十万人が一斉に三十秒間行った。うち四校はオンライン会議システムを使い、画面を通じて八病院との会話に参加。その他の学校では校内放送などで職員や生徒が拍手の意味を説明した後に行ったという。
 拍手を受け、医療従事者らは「元気が出た」「応援を力にまた頑張る」などと子どもたちに礼を述べた。岸中学校(南区)で代表を務めた生徒会長の植田景保さん(14)は、この日始まった通常授業で多くの友人らと会える「普通のこと」に幸せを感じたといい、「直接感謝を伝えられてよかった」と話した。
 市教委によると、実施は十日に全校へ通知。ある学校の管理職男性は「市教委からの通知は命令のようなもの。嫌だと思った職員もいるかもしれないが、拍手自体は悪いことではない」と話す。市内の学校でPTA会長を務める男性は「感謝を伝える相手は医療従事者だけでいいのか」と首をかしげた。
 市教委によると、十五日午後三時までに約五十件の意見が寄せられ、大半が「感謝を強制していいのか」「(その時間を)子どもの表情を見たり、話を聞く時間に充てた方がよい」など批判的だったという。
 これに対し、細田真由美教育長は「『強制』と言われるのは驚きだ」と反論。拍手は、長期休校を強いられた意味を子どもたちが理解し納得するため、通常授業開始のタイミングで何かできないかと市教委内部で考え、時間がかからず負担が少ない方法として選んだという。「子どもの頑張りは何度も褒めてきた。今回は、日常を取り戻せたのは大人たちが頑張っているからだと知らせることが重要だと考えた」と説明している。

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