党派戦略が交錯、野党共闘ならず競合に <かすむ政党 都知事選2020下>

2020年6月17日 07時09分

れいわ新選組公認で出馬する山本太郎氏=15日、参院議員会館で

 「宇都宮(健児)さんに託せばいいと思う方もいるかもしれない。でも財政に関わる部分で考えが違う」
 十五日、れいわ新選組代表の山本太郎氏(45)は約百人の報道陣を前に、新型コロナウイルス感染症を踏まえて東京五輪・パラリンピックを中止することや、全都民への十万円給付などの主張を展開した。
 山本氏は二〇一九年の参院選に比例代表候補で出馬し、個人名で九十九万票超を獲得。優先的に当選する「特定枠」に他候補二人をあてたため自身は落選したが、大きな注目を集めた。
 「彼が出れば面白くなる」。市民団体や一部野党系地方議員からは野党統一候補として期待する声は根強く、実際に調整も進んでいた。

野党議員らとともに街頭に立つ宇都宮健児氏(中央)=16日、東京都千代田区で

 しかし、野党の共闘ではなく、競合をつくる形になってしまった。会見で山本氏は大きな理由として二つ挙げた。一つは「消費税を5%に戻す」と政策に盛り込めなかったこと。もう一つは、れいわの公認とするか、無所属でも選挙運動の確認団体に「れいわ」の名前を使うことが受け入れられなかったとする。山本氏は躊躇(ちゅうちょ)なく言及した。「来年は都議選がある。れいわの名前を宣伝されては困るんですね。シマ(縄張り)に足を踏み入れるなと」
 れいわも都議選擁立を狙っており、他党にすれば「れいわの党勢拡大のためにやるわけではない」(野党関係者)。歩み寄りは難しかった。
 「どういう候補が出ても降りるつもりはない」
 一足早く出馬表明した元日弁連会長の宇都宮健児氏(73)は五月二十七日、記者会見で断言した。一六年の前回都知事選で、鳥越俊太郎氏の電撃出馬により告示前日に「苦渋の決断」で出馬を取りやめたこともあり、今回は不退転の決意を強調。五月末に山本氏の訪問を受けた時も「必ず出る」と伝えた。
 山本氏の擁立が不調になった野党は、宇都宮氏に傾く。共産党の志位和夫委員長は「政治姿勢、政策は共有できる」と歓迎。立憲民主党、社民党も支援を表明した。ただ革新色が強い宇都宮氏に国民民主党は難色を示し、自主投票を決定。それでも一部は宇都宮氏支援に回ると期待され、緩やかな共闘を描くはずだった。山本氏の出馬表明に、ある野党幹部はぼやいた。「山本太郎が共闘を壊した」
 野党共闘は山本氏以外にも、元文部科学省事務次官の前川喜平氏や蓮舫参院議員の名前も挙がった。だが新型コロナウイルス対策で注目を集める現職の小池百合子氏(67)が「毎日テレビに露出している状況で、候補者を口説くのは難しい」(立民都連幹部)と終始難航した結果だった。
 日本維新の会は、元熊本県副知事の小野泰輔氏(46)を推薦。東京維新代表の柳ケ瀬裕文氏は今月九日の会見で、「選択肢を示すことは極めて重要だ」という松井一郎党代表の発言を紹介した。今後につながる足場づくりを狙う。 (土門哲雄、岡本太、大野暢子)

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