<学校と新聞>「オンライン論考教室」 ニュースを読み解き、表現する

2020年6月17日 07時22分

「人種差別はなぜ起こるのか」。生徒と議論する山中雄史さん=東京都世田谷区で

 ニュースの背景に何があるのか、一緒に考え、議論しませんか−。
 東京都世田谷区にある新聞販売店「ASA三軒茶屋下馬」(大喜智広所長)が四月から、小学高学年から大学生を対象に、インターネットのビデオ通話を利用した「新聞論考教室」を開いています。企画した同店営業担当、山中雄史(ゆうし)さん(29)は「新聞に書かれた事象を知識として覚えるだけでなく、なぜ起きたのか、社会の一員としてどう課題解決するか、論理的・創造的思考を養ってほしい」と狙いを話します。
 「差別はなくならないと思う。何百年も続いているから。でも、なんで黒人が差別されちゃうのかな」
 六月上旬の土曜日。米ミネソタ州で、警官に首を押さえ付けられ死亡した黒人男性についての記事を読んだ、区立中学一年の伊藤アシエール快さん(12)が切り出しました。山中さんは、米国の総人口における人種比率を表すグラフを画面で共有し、「白人が六割以上だね。数が多いということは?」と質問、快さんが答えるよう促します。
 さらに山中さんは、「メディアの描き方ひとつで、人を死に追いやってしまうこともある」と、民放のリアリティー番組に出演していた女性が、SNSでの誹謗(ひぼう)中傷に悩んで自殺したとみられるニュースに触れます。「悪口を送ろうとしたら、警告が出るようにすれば?」という快さんの提案に、山中さんは「それが悪口だと、誰が判断するの?」と投げかけ、表現の自由についても言及します。
 快さんは、三月に小学生向けの新聞から一般紙に切り替えたものの「一面をぼーっと眺めるだけだった」と振り返ります。休校中の時間を利用し、四月から週二、三回、この教室に参加するうち「世の中の動きや言葉の意味が分かるようになってきた」そうです。
 山中さんは新しい学習指導要領や大学入学共通テストで問われる発想力や表現力を、新聞を通じて子どもたちに身に付けてもらう手法を二年ほど前から模索。コロナ禍を機に、オンラインでの教室を開きました。
 参加意識を持ってもらおうと有償にし、参加費は一対一が月額三千円から、生徒が複数の場合は千円から。同店では東京新聞と朝日新聞を扱っています。問い合わせは山中さん=メールriemilano@gmail.com=へ。 (小形佳奈)

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