しぼむ期待…苦境の国産ジェット開発体制縮小

2020年6月17日 13時59分

開発の縮小などが発表された国産初のジェット旅客機スペースジェット=4月4日、愛知県豊山町で、本社ヘリ「あさづる」から


 国産ジェット旅客機「スペースジェット(SJ、旧MRJ)」を開発中の三菱航空機(愛知県豊山町)が開発体制を縮小する。たび重なる開発の遅れに、新型コロナウイルスの影響による親会社・三菱重工業の業績悪化などが追い打ちをかけた。これまで海外から技術者を集めるなど投資を拡大してきたが、今後は一転、最低限の規模を維持する方向となる。 (竹田弘毅)

◆親会社もコロナ禍で限界に

 SJの開発費はこれまでに一兆円近い規模にまで拡大している。対する売り上げは六度の納入延期もあって一向に立たない。
 開発を続けられたのは親会社の三菱重工の体力があってのことで、それもコロナ禍で限界に達した。同社が五月に発表した二〇二〇年三月期連結決算はSJの損失が重く、本業のもうけを示す事業損益が二百九十五億円の赤字に。業を煮やした三菱重工は本年度、SJの予算を一九年度の半額程度に削減することを決断した。
 SJは世界的な小型機需要の伸びを見越して開発、営業活動をしてきたが、新型コロナは買い手の航空会社も直撃している。

◆手応え見せたが…状況が一転

 昨年末、名古屋市内で開いた会見でアレクサンダー・ベラミー最高開発責任者は「信頼を回復するためにはわれわれが成果を出すしかない。学んだことを生かして前に進む」と話し、SJ開発の進展に手応えを見せていた。しかし、わずか半年で状況は一転。六月末で退任する。
 MRJは事業化した当初は国産にこだわり、日本人のみで開発に挑んできた。だが、数年前からベラミー氏以外にも外国人技術者を大量採用。結果的に人件費は高騰し、研究開発費の大半を外国人技術者の人件費が占める事態に陥った。
 体制見直しの中で外国人技術者の大幅削減は必至だ。

◆最低限の開発で実績狙う

 三菱航空機は今後も開発を続ける意向を強く示しているものの、展望は描けずにいる。開発の最終段階に入っている九十席級のM90に経営資源を集中する一方で、北米の主力機種として構想を描いた七十席級のM100は計画を凍結したままだ。
 航空業界に詳しい橋本安男桜美林大客員教授は三菱重工の判断について「これまでは鷹揚(おうよう)にお金を出してきたが、これ以上お金を出せない。最低限の開発を維持し、とりあえずM90を世に出し実績にしたいということだろう」とみる。
 スペースジェット 三菱重工業の子会社、三菱航空機が開発する小型ジェット旅客機。空気抵抗を抑えた機体設計と最先端のエンジンによる優れた燃費性能が強み。2008年に事業化が決まり、昨年3月に運航に必要な安全認証取得への最終関門となる国土交通省による飛行試験を米拠点で開始した。約400機を受注していたが、昨年10月、最大100機の契約が解消されたと発表した。

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