透析患者に安心を 感染時の死亡率高く…第2波に備え、医師ら対策を強化

2020年6月17日 14時03分

感染者の個室透析ができるように整えた部屋。窓があることから、輸血用だった部屋を改装した=川崎市中原区の関東労災病院で


 新型コロナウイルスの再流行に備え、血液を人工的にきれいにする透析治療を担う医師らが対策の強化を急いでいる。透析患者は、感染したときに死亡する割合が高いためだ。日本透析医会などは重症化した透析患者用の治療設備数などの全国調査を実施し、今月中に調査結果を踏まえ、厚生労働省に政策提言する計画だ。 (福岡範行)
 血液透析は週三回、数時間ずつ医療機関の大部屋で集団で行うことが一般的で、透析患者間では、新型コロナウイルスの感染リスクが付きまとう。
 日本透析医会などでつくる新型コロナウイルス感染対策合同委員会の集計によると、透析患者は六月十二日までに全国で百八人が感染、十九人が死亡し、死亡率は17・6%。透析患者は年齢層が高い上、糖尿病や高血圧の症状がある人が多いからか、国内の死亡率約5%より高い。
 新型コロナ対策にはPCR検査での感染者の見極めが重要だが、川崎市内の透析クリニックでは五月上旬、行政のPCR検査を円滑に受けられないことに不満が高まっていた。
 このため、川崎市透析災害対策協議会は、各地域の病院の医師たちが検査依頼などの相談窓口となる体制を整備。首都直下地震に備えて一昨年から準備した枠組みを生かした。透析施設のウェブ会議も定期的に開き、マスク不足や受け入れられる感染者数などの情報も集約している。
 同対策協議会の事務局長を担う関東労災病院(川崎市)の腎臓内科副部長・矢尾淳医師(40)は「行政とも調整し、できるところから課題を解決している。この仕組みは、第二波や他の災害でも生かせる」と取り組みの意義を語る。
 感染者の入院に備え、関東労災病院では個室で透析できる部屋を準備した。透析時に感染者らを隔離できる環境づくりは、透析医会などの新型コロナウイルス感染対策合同委員会が全国に呼び掛けてきた対策だ。
 対策合同委委員長の菊地勘医師(48)によると、これまでも個室透析は、感染拡大の抑制に役立った。ただ、透析患者でない人が新型コロナの感染に伴う急性腎不全で透析が必要になるケースもあり、再流行時に個室透析用の装置などが不足する恐れがある。菊地医師は「感染した透析患者を集中治療する基幹病院のベッド数は、多い病院でも三人分ぐらいしかない」と指摘する。
 神奈川県は今月九日、県内の川崎市以外の地域でも大学病院が透析患者の入院調整の相談窓口になる体制を整えたと発表した。新型コロナの無症状や軽症の場合でも、透析患者をすぐに入院させることを目指している。

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