<小林深雪の10代に贈る本> 「若草物語」を読もう

2020年3月23日 02時00分
 『若草物語』が、再び映画化され話題です。今年のアカデミー賞衣装デザイン賞も受賞しました。新型コロナウイルスの影響で、残念ながら日本での公開が延期になってしまいましたが、こんな時だからこそ本を読んでみませんか?

◆日々の創意工夫、あこがれ

 <1>ルイザ・メイ・オルコット著、谷口由美子訳『若草物語I&II』(講談社、2090円)
 個性の違う4姉妹が生き生きと日々の生活を送る、その細やかな描写が大好きです。
 少ないお金をやりくりしてお母さんへのプレゼントを買ったり、焼け焦げたスカートを隠してパーティーへ行ったり。お菓子作り、ガーデニング、ピクニック、郵便局ごっこ、屋根裏の秘密クラブでの新聞製作。日々を創意工夫して楽しむ姿に、10代のころ、とてもあこがれました。
 姉妹は、それぞれが小説を書いたり、ピアノを弾いたり、絵を描いたりしていて、感受性も豊かです。中でも、19世紀という古い時代に、自由に振る舞い、小説家を目指すジョーは凜(りん)として魅力的です。
 この本は、4姉妹のその後を描いた続編と合わせて1冊になっています。2部では、ジョーはニューヨーク、エイミーはフランスへ。メグは結婚して双子を産み、ベスは……。そして、ローリーは?
 大人になった4人は、どんな選択をし、どんな人生を歩むのか。未読の人は驚くはず。 

◆大人になってからの支え

 <2>『グレタ・ガーウィグの世界 ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(DU BOOKS、4180円)
 初の単独監督作『レディ・バード』で、アカデミー賞監督賞にノミネートされたグレタ・ガーウィグ。女性監督としては、史上5人目の候補(こんなに少ないとは!)という彼女が作り上げた新しい映画『若草物語』のオフィシャル・メイキングブックです。
 原作者のオルコットへの思い、グレタ自身が書いた脚本について、衣装デザイン、インテリアやセット、出てくるお菓子のレシピも載っていて、時代背景などもよくわかり、小説の副読本としても最適です。エマ・ワトソン、ティモシー・シャラメたちの撮影舞台裏も楽しめます。
 『若草物語』をはじめ『指輪物語』『チョコレート工場の秘密』など、毎年、たくさんの児童書が次々と映画化されています。それは、子ども時代に読んだ本が、クリエーターたちに深く影響を与えているからだと思います。
 もちろん、クリエーターだけでなく、10代に読んだ本は、大人になってからのあなたをきっと支え、ずっと寄りそってくれますよ。

◆わたしがずっと愛する本

 <3>W・サローヤン著、岸田今日子・内藤誠訳『ママ・アイ ラブ ユー』(新潮文庫=品切れ)
 3年以上続いたこの連載も今回が最終回です。長い間ありがとうございました。新しい本/古い本、柔らかい本/歯ごたえのある本など、バランスを考えて選んできたつもりですが、「なるべく絶版になっていない本を」というご依頼だったため、泣く泣く紹介できなかった本もたくさんありました。
 そんな中で、最後に、わたしが10代の時から偏愛する本をご紹介させてください。
 主人公のキラキラヒメ(そう呼ばれている)は、ニューヨーク・ジャイアンツのエースを目指す9歳の女の子。パパと別れてブロードウェーのスター女優を夢見るママに連れられて、ある日突然、カリフォルニアからニューヨークへやってきますが……。
 対になっている『パパ・ユーア クレイジー』は、父と息子の物語で、合わせて読むとさらにおもしろいです。2冊とも、生きることの楽しさが、じわじわと湧いてくる本です。 =おわり
      ◇
<こばやし・みゆき> 『スポーツのおはなし 体操 わたしの魔法の羽』(講談社)発売中。 

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