<小林深雪の10代に贈る本> 五輪とパラリンピックについて知ろう

2020年2月24日 02時00分
 今年はオリンピックイヤー。1964年大会から56年、2度目の東京五輪が開催されます。そこで、2月のテーマは「オリンピック/パラリンピック」です。いま一度、オリンピックについて考えてみませんか?

◆ブラインドサッカー 声で選手をサポート

 <1>川端裕人『風に乗って、跳べ』(朝日学生新聞社、1320円)
 高校2年生の華は、小学生時代女子サッカーで活躍し、あこがれていた六花(りっか)と偶然に再会します。なんと六花は、盲学校に通い、ブラインドサッカーに打ち込んでいました。
 ブラインドサッカー(5人制サッカー)とは、パラリンピックの種目で、視覚障がいのある選手を対象としたもの。個々の見え方による有利不利をなくすため、アイマスク着用の義務があります。それなのに、六花は、まるで目隠しなどしていないかのような華麗なドリブルや迫力あるプレーです。どうなっているの?
 驚き、とまどう華は、六花に声で選手をサポートする「ガイド」にならないかと誘われます。「ガイド」とは、ゴールまでの距離や角度などの情報を声で伝え、プレーヤーの目の代わりになる大切な役割のこと。そこから、華と六花の挑戦が始まります。ブラインドサッカーの魅力やルールがよくわかり、パラリンピックに興味が湧いてきます。

◆1人乗りボート夢の代表、なのに五輪不参加!?

 <2>千野帽子編『オリンピック』(角川文庫、704円)
 オリンピックをテーマにしたアンソロジー。三島由紀夫による64年の東京五輪観戦記や筒井康隆さんの短編小説などバラエティーに富んだ内容です。中でもぜひ読んでほしいのが山際淳司さんのノンフィクション作品「たった一人のオリンピック」です。
 都内有数の進学校の生徒だった「彼」は、東大受験に失敗。大きな挫折を味わいます。マージャンに明け暮れる怠惰な日々。でもある日、彼は突然、思いついてしまう。オリンピックに出よう。冗談ではなく。本気で。ダメになっていく自分を救うために。
 でも、今から何ができる? オリンピックといっても、あまり知られていないマイナーな競技もある。1人乗りボートなら、今から始めてもいけるんじゃないか? 彼は、他のことに見向きもせず20代の全てをボートにささげ、そして、奇跡の快進撃。なんと、本当にモスクワオリンピックの代表選手に選ばれる! ところが、その五輪に日本は、参加しなかった…。
 オリンピックとは? 夢とは? 人生とは? 運とは? しみじみと考えさせられます。

◆体操 練習中にけが、絶望救ったのは

 <3>小林深雪『スポーツのおはなし 体操 わたしの魔法の羽』(講談社、1375円)
 全10巻で刊行されたオリンピックの種目をテーマにした「スポーツのおはなし」シリーズ。あさのあつこさんの「野球」、小手鞠(こでまり)るいさんの「リレー」、吉野万理子さんの「卓球」。また新種目のサーフィンやスポーツクライミングなど、10人の作家が描き下ろした、小学生から読める創作童話です。また巻末のコラムページで、そのスポーツへの理解が深まるようになっています。
 わたしは「体操」を担当しました。主人公のことりは、平均台の練習中に着地に失敗し足を骨折。二度と体操はできなくなるかも…。悩み絶望することりは、リハビリ中に、さまざまな人たちと出会います。そして、今まではどこかひとごとだったパラリンピックを身近に感じ、興味を持ちます。「人というのは、内にこんなに大きな力を秘めている」。そのことに気がつき、前を向く勇気をもらいます。
 さあ、あなたは、どのスポーツから読みますか?
<こばやし・みゆき> 『スポーツのおはなし 体操 わたしの魔法の羽』(講談社)発売中。

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