東海第二再稼働 県議会委で県民投票条例案否決 実質審議1日「スピード採決」

2020年6月19日 07時33分

賛成少数で県民投票条例案を否決した防災環境産業委員会=いずれも県議会で

 日本原子力発電東海第二原発(東海村)の再稼働の賛否を問う県民投票条例案は、18日の県議会防災環境産業委員会で、賛成少数で否決された。参考人質疑などの実質的な審議をわずか1日で終える「スピード採決」。反対した最大会派のいばらき自民は県議会全体でも過半数を占めており、条例案は6月定例会閉会日の23日の本会議で否決される公算が大きい。(宮尾幹成、松村真一郎、水谷エリナ)

東海村の山田村長(中央手前)

 防災環境産業委では、下路健次郎委員長を除く九人が挙手で採決した。賛成は共産の江尻加那氏と無所属の中村勇太(はやと)氏の二人で、自民(五人)、国民民主系の県民フォーラム(一人)、公明(一人)は反対だった。
 採決に先立つ各会派などの意見表明で、自民の白田信夫氏は条例案が投票時期を明示していない点を反対理由に挙げた。
 大井川和彦知事のこれまでの発言などから、仮に条例制定されても、東海第二の事故対策工事が完了する二〇二二年末までは県民投票は実施されないと指摘。「現在の議員の任期(二三年一月七日)中には行われない。代議制を補完する直接請求が、選挙で選ばれた次の任期の議会を縛ることになる」と問題視した。
 県民フォーラムの二川英俊氏は「(投票結果は)民間企業の事業運営に著しい影響を与える。再稼働の賛否と切り離して議論することは現実的でない」とした上で、「現段階では条例制定する状況にはない」と述べた。
 公明の田村佳子氏は、「二者択一で多くの民意を吸い上げられるのか」「九億円もの費用をかけて低投票率だった場合、正統性に疑問符がつく」などと指摘した。
 一方、江尻氏は採決する場合は賛成だとした上で、継続審議を要求。中村氏は、直接請求を求める署名活動の成果を「県議会として重く受け止めるべきだ」と訴えた。採決後、江尻氏が継続審議の動議を出したが、賛成少数で否決された。
 採決に先立って、総務企画委員会と合同の「連合審査会」が開かれ、条例制定を直接請求した「いばらき原発県民投票の会」の共同代表三氏や山田修・東海村長ら、五組十人の参考人質疑があった。
 県民投票の会の鵜沢恵一氏は「きちんと向き合って議論し、合意する県民となるためにも県民投票を実現したい」、姜(山崎)咲知子氏は「自分の意見が大切にされると実感できるプロセスにこそ民主主義が宿る」などと語った。
 山田村長は条例案そのものに関する発言は避け、住民が自由に意見交換できる場の設置を進めるとした。
 このほか、行政手続きに詳しい古屋等・茨城大人文社会科学部教授、経済産業省資源エネルギー庁職員、原子力規制庁職員(四人)の参考人質疑もあった。
 採決後、報道陣の取材に応じた県民投票の会の徳田太郎氏は、自民などが示した反対理由を「納得のいく意見はなかった。非常にレベルの低い議論だった」と批判した。
 条例案は、県民投票の会が八万六千七百三筆の署名を添えて直接請求したのを受け、知事が八日開会の六月定例会に提出した。

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